実家の5LDKを3カ月で売却、「地方は売れない」は誤解だった…親が健康な70代のうちに都心移住させた「実家じまい」

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「実家の片付けには私と、時々夫も同伴してくれて、重いものを運んだりして手伝ってくれました。何しろ量が多いので、自治体の集積所に車で持ち込んだり、回収業者からレンタルできる大きなコンテナを利用して廃棄したりと、どんどん捨てていきました。時間がなかったこともあり、アルバムなども廃棄してしまったのは少し心残りでしたが、空っぽになった実家を写真におさめることができたのはよかった」

リビング
(写真:たびねこ家さん提供)

お互いが「近くにいる」という安心感

実家じまいとなると、親の次の住まいも悩むところだ。たびねこ家さんの母は一度都内の妹の自宅へ身を寄せ、新居を探すこととなった。

「母は当時70歳。たとえ健康面に不安がなくても、高齢者は賃貸物件への入居を断られることもあると聞いていたし、実際に年齢を理由に入居申し込みができなかったり、他の入居者とのバランスからお断りされた物件もありました」

一日の多くを自宅で過ごす母にとって住み心地がよく、自炊もできるようキッチンはしっかりとしたものを……。さまざまな条件のもとで物件を見て回り、気に入った物件にめぐりあうことができた。最終的に身元保証人を立てることで管理会社の審査に通り、母の新たな家も無事に決まった。

移住後、再び一人暮らしをしているというたびねこ家さんの母。新天地での暮らしはどのようなものになったのだろうか。

「引っ越してきた最初の年は、夏の暑さに参ってしまい自宅にこもりがちだったので心配していましたが、実家の地域にもあったジムへ通うようにもなり、定期的に出かける場所や参加するコミュニティが複数できたおかげで、行動範囲やお付き合いが広がっているようです。車に乗らずに歩くようになったので、健康的になったようにも思います」

母と娘の連絡は、初めのうちこそマメにとるよう心がけていたが、いつしか3日に1回、週に1回……と、実家にいたころと変わらない頻度になっているという。ただ、何かあってもすぐに駆け付けられる距離にいるという安心感はお互いにとっても大きいようだ。

「親が健在のうちに実家じまいを終えて、将来への心配が減りました。ただ、実家じまいは親の意思を第一に考えなければうまくいかないと思います。選択肢の一つではあるけど、それを決断するのは子ではなく親。それを念頭において、コミュニケーションをとっていくのがよいと感じています」

たびねこ家さんは「実家はあくまで両親のもの」と、自らが育った家であっても執着はなかったという。ある意味ではドライにも感じられるが、だからこそ母の「実家を売却する」という決断にも揺らぐことなく、実家じまいをやりとげられたのかもしれない。「親の意思を第一に」、これは実家の処遇をめぐる親子の対話で、忘れてはいけない心構えなのだろう。

藤堂 真衣 フリーライター

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とうどうまい / Mai TODO

大阪出身、1986年生まれ。大学を卒業後、フリーター期間を経て2011年より制作プロダクションのライターとして活動を開始。大学受験や結婚情報誌のライティング・ディレクションに携わる。2016年、結婚を機に上京し、フリーライターとしてビジネス系からエンタメ、カルチャー、ライフスタイル系まで、インタビューを中心に幅広く活動中。幼少時からのアニメ・漫画オタク。好きなものは間取り図と廃墟。
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