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〈業界王者の野望〉カインズが"IT実装"と"ハンズ買収"で深めた自信…高家社長「規模追求のためのM&Aは必要ない」

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ホームセンター国内最大手のカインズだが、高家社長によれば、「自分たちはホームセンターだ」という認識はあまりないという(撮影:風間仁一郎)
ホームセンター(HC)国内首位のカインズが、新たな成長局面に突入している。
2019年にデジタル戦略本部を設立して以降、自社ECやアプリの構築・運用など、IT技術の活用に力を入れてきた。昨年末に出店した吉川美南店(埼玉県吉川市)は、最先端の技術を結集させた次世代型店舗1号店として、営業時間外でも一部商品を購入できる無人店舗やデジタルオーダーコーナーを設置した。
M&Aでも攻勢を強める。22年3月に買収したハンズ(旧東急ハンズ)は25年2月期、32年ぶりに経常利益ベースで最高益を更新。25年後半には、住宅設備のリフォーム事業を手掛ける交換できるくんと資本業務提携したほか、DIY商品のECサイトを展開する大都を完全子会社化した(ハンズ立て直しなどの詳細はこちら)。
従来のHCの枠を超えて、拡大し続ける業界王者の将来像とは。カインズの高家正行社長に聞いた。

リストラせずにハンズは黒字体質に

――初の大型買収となったハンズは25年2月期に最高益を更新しました。買収から4年が経ちますが、何が収益立て直しに寄与したのでしょうか。

業績が長期的に低迷し、とくに買収直前の当時はガクンと落ちていた。赤字からの脱却に時間はかけられず、スピード重視でとりかかった。

取り入れたのは、基本的なチェーンストアのオペレーションだ。例えばカインズでは、ある作業に費やす標準時間を決めて管理している。長く時間がかかっている店舗はすぐわかる。だが、ハンズでは店舗によって同じ作業にかける時間がバラバラだった。

いずれも当たり前に聞こえるかもしれないが、ハンズでは定着していなかった。不動産会社の傘下で(編集部注・ハンズの旧親会社は東急不動産ホールディングス)、学ぶ機会が少なかったのではと思う。

ハンズでは各店舗の店長が、おもしろいと思った商品を仕入れて販売する個店主義が浸透していた。それ自体は決して悪いことではないが、仕入れるからには、その店でちゃんと売り切らないといけない。でも、仕入れた店舗で売り切れずに在庫として残り、対策も打てていなかった。

――店舗オペレーションから商品調達、売り方までの工程を見直したことで、収益体質を変えられたと。

うちが買収する前に何店舗か閉めていたこともあり、売り上げはコロナ前の水準にまで戻っていない。でも、(カインズによる子会社化後)人員や店舗を減らすといったリストラはいっさい行わずに最高益を出せた。

ユニークな価値がある店を多店舗化するのは、どんな小売業でもすごく難しいこと。そこでもがき苦しんでいた30年だったのかなと。チェーンストアとしての土台をまずはしっかり作ったうえで、ハンズらしさのようなユニークなものを乗せていく。そういう順番で物事を考えて、集中的に(改革に)取り組んできた。

26年2月期も、前期実績を超えていきそうだ。足元ではインバウンドなどの追い風もあったが、こんなに買収がうまくいくことはそうないのではと思うほど、よい結果につなげられた。

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