アメリカ民主党が「労働者」から見限られた決定的な瞬間 トランプ台頭を招いたオバマの「庶民を見捨てた」決定的失策とは

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オバマが労働者階級の側に立つポピュリスト的なアプローチを避けた背景には、彼自身の経歴と民主党の構造的変化があった。

シカゴの貧困地域でコミュニティ・オーガナイザーとして活動した経験を持つオバマだが、政治家としてのキャリアを築く過程で、ハーバード・ロースクールへ進学し、エリート層との結びつきを強めていった。

シカゴのハイドパーク周辺の裕福な白人層や、法律業務・財団の役員経験を通じて知り合ったエリート層が彼の有力な支持基盤となっていったのである。

この「インテリ層への傾斜」は、政権発足時の人事にも如実に表れた。

金融危機と景気後退の責任がウォールストリートにあることが明白であったにもかかわらず、オバマは財務長官にティモシー・ガイトナー、国家経済会議(NEC)委員長にローレンス・サマーズといった、クリントン政権時代のロバート・ルービン門下生たちを重用した。

彼らの視点や政策は、メインストリート(一般社会)よりもウォールストリート(金融界)寄りのものであった。

この人事選択は、民主党の統治連合に対する金融エリート層の強固な支配を再確認させるものであり、同党が労働者階級の利益を代弁する政党から、高学歴なエリート層の政党へと決定的に変貌を遂げた瞬間でもあった。

銀行を救済し、メインストリートを見捨てた2年間

オバマ政権の金融危機対応は、結果としてメインストリートの労働者階級に深い失望と怒りを植え付けることとなった。

その象徴的な出来事が、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)のボーナス問題である。

政府がAIGに1730億ドルもの巨額の救済資金を提供する一方で、同社の幹部たちが1億6500万ドルのボーナスを受け取っていたことが発覚した。

オバマは「激怒」していると発言したものの、政府は実質的な罰則やペナルティを一切科さなかった。

さらに、顧客を欺いた疑いのある銀行や住宅ローン大手に対しても、司法省は幹部を誰一人として起訴しなかったのである。

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