「また失敗か」「資金が尽きる前にやめたほうが…」の声も…日本初の民間ロケット「カイロス」が、"3連続失敗"も諦めないワケ

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スペースワンの豊田正和社長は打ち上げ失敗のたびに「失敗ということとは考えていない」と繰り返し、同社の顧客について「(リスクを)ご理解いただいたうえで一緒に挑戦をしていく」と説明してきた。

また、5日の会見では、衛星を搭載しない試験打ち上げを実施する可能性について問われると、「今後も同じような形で対応していきたい」と回答し、試験打ち上げには否定的な姿勢を見せた。

豊田社長の発言は一見すると強硬な姿勢にも見えるが、これがVCLSのようなリスクを許容する開発思想に基づいていると考えるならば理解しやすくなる。

失敗することができない衛星ならば、着実に実績を積み上げたロケットを選択するはずだ。もしも顧客がクラスD的なリスク許容を持っているなら、3回の失敗も「開発プロセスの一部」と位置づけられる。

「失敗」は許されるとしても…

とはいえ顧客の衛星喪失は軽くはない。VCLSでは、打ち上げ失敗後にはロケット企業の責任でリスク管理や安全、品質管理の計画とアプローチについて調査報告することが求められている。

打ち上げ失敗後に、搭載予定だった衛星がロケットを変更して、ほかのVCLS選定ロケットに載せ替えられた例もあり、対応次第で顧客を失うこともあるのだ。リスクを承知で衛星という貴重な資産を預けてくれた相手には丁寧な説明が必要だということだ。

スペースワンの姿勢はリスク許容型の開発として理解できる部分はあるものの、これまでのところ「説明が足りないのではないか?」という疑問が湧く部分がある。4日に発射台で打ち上げを中止した際の説明の仕方もそうだ。

関野副社長によると、この日はロケットの飛行コースを判断するために利用する測位衛星の配置が理想的ではなく、状況が良くなる期待のもとに打ち上げを実施したのだという。

結果として衛星の配置は改善しないまま打ち上げは中止となった。測位衛星の軌道はあらかじめシミュレーションすることができるため、「打ち上げ実施を急いだためにリスクを取りすぎたのではないか」との疑問が生じる原因になった。

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