「また失敗か」「資金が尽きる前にやめたほうが…」の声も…日本初の民間ロケット「カイロス」が、"3連続失敗"も諦めないワケ

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15年に始まったVCLSでは、小型ロケットを開発する企業を複数社、NASAが選定して「ロケット候補」としてプールしている。

NASAは研究開発中の衛星を「クラスA(絶対に失敗できない)」から「クラスD(リスク許容度が高い)」まで分類し、クラスDの超小型衛星のみを小型ロケットに対してマッチングする。

まだ初飛行を終えていない、あるいは実績の少ないロケットの場合、開発企業が自力で信頼と顧客を獲得するのは困難だ。顧客とは、超小型衛星の新しい技術を実証する機会を求めている新興企業や大学、研究機関などである。

VCLS制度の下でNASAという信頼性の高い顧客を最初の段階で獲得でき、NASAは極めて低いコストで技術実証衛星の打ち上げ機会を得られる。

「まだ打ち上げ実績のないロケットの信頼性をどう考えるか」というリスクに対する姿勢ははじめから明確になっている。「失敗/成功」の2択ではなく「挑戦と学習」のプロセスとして捉えているのだ。

ただし、VCLSでは失敗後の詳細な報告と透明性の確保が求められており、リスク許容と説明責任は一体となっている。VCLSは現在、小型ロケットのみならず大型ロケットの新しい打ち上げ方式にも対応できるVADRという制度に発展して継続している。

失敗が続いて、資金が尽きてしまう?

育成プログラムという点で言えば、日本は資金面で民間ロケット開発企業を支える仕組みを持っている。

文部科学省が23年から進める「SBIRフェーズ3 民間ロケットの開発・実証」支援プログラムは、27年度までに軌道上実証ができる日本の民間小型ロケット開発を支援する制度だ。スタート時には4社が採択され、2回のステージゲート審査(中間審査)を経て最終的に2社に絞り込まれることになっている。

1回目の中間審査で3社に絞られた開発企業のうち1社がスペースワンで、同社はいち早く打ち上げを開始した立場にある。

この3月には2回目の中間審査を控えている。今回の審査基準は「設計の完成度」で、すでに機体の製造段階に入っているスペースワンはほかの2社よりも先行している。

同社が3連続で失敗したというニュースに際して、ネット上では「もう資金が尽きるのではないか?」というコメントも見られたが、今回の打ち上げ失敗の原因が大幅な設計変更を迫るものでないならば、追加資金が執行される可能性はそれなりに大きい。

また、宇宙戦略基金からロケット製造技術の刷新を支援するテーマに採択されるという追い風も吹いている。

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