関西でおなじみ「アラ!」の会社が貫く「ブレない」経営哲学《小さな弁当店も老舗も原料の未来も》「大切なもの」を守り抜く

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2023年3月31日、ブンセンは「アレ!」という新商品を発売した。企画を立ち上げたのは、総務兼経理部長の髙島さんだ。

「アレ」
プロ野球放送の時間帯は夕飯時。「アレ!」を食卓に置きつつ、応援するファンはきっと多いに違いない(写真:筆者撮影)

関西エリアを拠点とするプロ野球球団の監督の口グセ「アレ」と、自社商品「アラ!」の語感の一致に着目し、「商品として出したら面白いのではないか」と田中社長に相談したという。

「私は商品開発担当ではありません。ただ、どうしてもやってみたいと思ったので社長に直談判しました」(髙島さん)

ブンセンでは、新商品のための形式的な企画会議は設けていない。ただ「なにかやってみたい」という意思を持つ社員がいれば、その本人が主体となって進めるのだという。

発売日は、同社が「アラ!の日」と定める3月31日。偶然にも、この年のプロ野球の開幕もまた、3月31日だったという。

「開幕に間に合わせたかったというのと、総務部として『アラ!の日』のPRも兼ねて、この日に設定したのですが、猶予はなかったです」(髙島さん)

企画を打ち出したのは、1月10日。新商品の企画から販売まで、通常は1年、早くても6カ月はかかるという。それを、3カ月弱で準備を進めなければならない。

「アレ!」はサンテレビ(神戸市)とのコラボ商品である。髙島さんが自ら出向いて商談を行い、デザインの打ち合わせから発売までの段取りを整えた。

時間がない。しかし、髙島さんは一人ではなかった。プロ野球ファンの営業担当者が自ら販売を申し出るなど、社内の協力がぐっと広がったという。

販売開始後は、「懐かしい」「面白い」といった反応が寄せられ、かつての顧客が再び商品を手に取るきっかけにもなったそうだ。

「『アレ!』を企画した年に阪神タイガースが18年ぶりに優勝して、日本一にもなりました。神がかってますよね(笑)」(田中社長)

この企画は2026年で4年目を迎え、現在も継続して展開されている。

「まず、自らやってみなさい」

なぜ、管理部門の社員が商品企画を主導し、外部との交渉まで担うことができるのか。その背景には、「まず、自らやってみなさい」という創業以来の価値観がある。

「多数決で決めても、いいものや面白いものは生まれないんです」(田中社長)

合理性や前例を重視するほど、新しい試みは生まれにくくなる。だからこそ同社では、職能の枠を設けず個人の発意を起点に挑戦する機会を重視している。

サンテレビとの共同企画「アレ!」
サンテレビとの共同企画「アレ!」は、販売4年目を迎えた。商品の中身を変えず包材を変え、シールで着せ替えもできるようにした遊び心あるアイデアが消費者の心を捉えた(写真:筆者撮影)
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