関西でおなじみ「アラ!」の会社が貫く「ブレない」経営哲学《小さな弁当店も老舗も原料の未来も》「大切なもの」を守り抜く

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速報から、わずか1カ月。

再生案件のM&Aは、一般的に6カ月から1年を要するとされる。その常識からすれば、異例中の異例とも言えるスピードだった。

では、なぜブンセンは、これほど迅速な決断ができたのか。

理由は2つある。

1つは、両社の強みが明確に補完関係にあったことだ。ブンセンは海苔や昆布佃煮の製造体制と全国販路を持つ。一方で、野村佃煮は山椒を生かした商品力と冷凍おせちの技術に定評がある。原料調達の統合や製造工程の最適化によって、事業の強化が現実的に見込めた。

もう1つは、「事業と雇用を守る」という強い意志だ。

「佃煮業界は年々市場縮小し、廃業する会社も少なくありません。培われてきた技術を、同業者である我々が引き継いでいかないといけない。メリットもデメリットも含めて引き受けようと、会長が決断しました」(田中社長)

それは単なる救済ではない。佃煮という産業の未来そのものを見据えた経営決断だった。

事業も、人も。時間をかけて信頼を回復していく

それから約2年が経過した。当初はブランドイメージ毀損は避けられず、取引先の離反も生じるなど、厳しいスタートとなった。しかし、それも織り込み済みだった。対話を重ね、取引条件を見直しながら、信頼は少しずつ回復している。

現場では、昆布など共通原料の調達ルートの一本化や加工工程の再編が進み、冷凍おせちの技術を生かした製造体制の再構築も始まっている。変化が生まれたのは、設備や工程だけではない。社員の意識にも及んでいるそうだ。

野村佃煮で製造するおせち
野村佃煮で製造するおせち(写真:ブンセン)
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