運べば運ぶほど赤字…出版物流を襲う「雑誌激減」の深刻。コンビニ配送撤退の裏で取次が白旗を上げるXデー

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もちろん、これは「痛みをともなう改革」です。まず、これまで大手出版社から大量の発注を受けてきた印刷会社にとっては大幅な売上減になりますし、そもそも、そんなにたくさんの印刷工場を設立する費用をいったい誰が負担するのか、という問題もあります。

けれど、未来のために思い切って投資するなら、今が最後のタイミングではないかと思います。10年後、50年後を見据えるなら、この施策に限らず、誰かが泥をかぶって思い切った策を打っていくしかない。

業界で働く人たちが長期的に食べていけるように

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結局、ここでも私の頭に浮かぶのは「大手の責任」です。儲かっているなら、お金があるのなら、業界のために使ってほしい。

自社の売上を追求するのはもちろんけっこうだけれど、その業界で働く人たちが長期的に食べていけるような環境を整えたり、新しい仕組みやインフラに先行投資したり、ルール作りをリードしたり、そういう「産業全体を支える役割」を引き受けるのが、業界のリーダーたる大手の務めではないでしょうか。

トヨタ自動車はトヨタのことだけをやっているように見えて、実際には部品メーカーやら販売網なども含めた、サプライチェーン全体の競争力を高める取り組みをしています。

結果として、トヨタが強くなるだけでなく、自動車産業全体を分厚くすることに貢献している。ですから、出版業界の大手が「トヨタ」的な役割を本気で引き受けて、中小出版社や書店、取次と手を結びながら動けるかどうか。業界の未来は、そこにかかっていると思います。

今村 翔吾 小説家、書店経営者

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いまむら しょうご / Shogo Imamura

小説家、書店経営者。1984年、京都府生まれ。関西大学文学部卒業。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て、2017年に火消の活躍を描いた「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第1作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。2016年に第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞、2018年に『童神』で第 10回角川春樹小説賞、『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7 回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞、2020年に『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞、『じんかん』で第11回山田風太郎賞、2022年に『塞王の楯』で第166回直木三十五賞を受賞。2025年に『イクサガミ』が Netflix にてドラマ化、2026年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』がTVアニメ化された。

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