「知能検査」は子どもを伸ばすためにどう活用すべき?「検査の原点」と「人を排除する道具と化したIQの歴史」に学ぶべき視点
学習に限らず、「あのやり方はダメだ」「このやり方がよい」というような二項対立的な言説は時に自分を奮い立たせてくれますが、得てして、自分とは違う価値観を切り捨てがちです。そうではなく、「同じ目標を持っている人がある方法をよいと言っているのだから、私のやり方とは違うけれど何かよい点もあるのだろう。それを探って自分に生かそう」といった姿勢が求められているように思います。
知的特性を理解して最適な環境を整える
知能検査の利用については筆者の専門である心理学史の立場から、以下のようにまとめておきます。
人は学習経験を積むことで、賢さがよい方向に確実に変化します。生まれつきや能力論にとらわれてはいけません。ただし、知能検査の特定項目を繰り返すことで知能指数(IQ)が上昇することとは別の現象です。知能指数(IQ)は相対的な順位を示すものにすぎません。同じ知能検査を何度も繰り返して相対的な位置の変動に一喜一憂することに意味はなく、目の前の子ども絶対的な成長を見ることが大切です。
本当に大切なのは、知能検査を通じて子どもの知的特性を理解し、その子に最適な環境を整え、適切な支援を提供することです。優れた面を見出して伸ばし、苦手な面には適切な支援を与える。そのために知能検査を使うべきなのです。
知能指数の数値そのものではなく、目の前の子どもを理解し、その子にとって最良の条件を整えること。これが知能検査を開発したビネとシモンによる本来の目的であり、正しい使い方なのです。そして子どもの成長の無限の可能性を前提に、唯一のやり方にとらわれることなく、複線性の思考で子どもに接することが大事なのではないでしょうか。
(参考文献)
・サトウ タツヤ. TEAの知を生かした混合研究法の実践.混合研究法.2025, 4 巻, 2 号, p.512-525.
・A.ビネー、Th.シモン(著)、中野 善達・大沢 正子(訳)『知能の発達と評価―知能検査の誕生―』(福村出版、1982年)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら























無料会員登録はこちら
ログインはこちら