もちろん、准看護学校を卒業した人がそのまま医療現場で働くとは限らない。実際、卒業者のうち准看護師として就業するのは46%で、45%は看護師資格取得のために進学している。
現在は、専門学校や大学の多くが社会人入試制度を設けており、そういう意味では、准看護学校が看護師を目指す人の1つのルートになっている。そこに准看護学校の1つの生き残り策があるといえるだろう。
さて、先ほど准看護師資格の廃止について、医師会が反対の姿勢を見せていると述べた。日本医師会の釜萢敏常任理事は、過去にこう発言している。
「医師会が看護師等養成所を運営する理由は、地域の看護職員を確保するためである。もし地域に養成所がなくなってしまえば、地域外あるいは県外への人材の流出につながり、地元への定着が困難になる」(2023年7月5日の定例会見より)
この発言は一見、“地域医療を支える立場からの、切実な危機感を表している”ように思える。しかし、准看護師学校の定員割れという現状を見れば、時代に沿った考え方ではなく、地域医療の担い手が准看護師であるという必要性はない。
特に昨今は、訪問医療や訪問看護といった地域医療が重要視されており、より専門性の高い看護師の確保こそが必要になっている。
専門学校・短大よりも「大学」
准看護師制度を廃止し、看護師一本化に絞るためには、現在、准看護学校に通っている准看護師の卵や、現役の准看護師への、看護師資格を取得するためのキャリアアップ支援が必要になってくる。
それに関しては、日本看護協会が現在、現役の准看護師への支援として「准看護師のための進学特設サイト」を設け、進学情報の発信などの取り組みを行っている。准看護師が看護師になれば、おのずと看護師数が増えるため、看護師不足はある程度解消でき、地域医療における懸念も一部、解決できる可能性が高まる。
ここまで触れてこなかったが、看護学校の定員割れの背景には、看護教育の「大学化」という大きな潮流もある。看護師を目指す学生が今は専門学校や短大ではなく、より高度な教育を受けられる大学進学を希望しているという実態だ。
きっかけとなったのが、1992年に施行された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」で、これを機に看護学部を設置する大学が急増した。
1992年度には11大学しかなかった看護学部が、2024年度は302大学と約27倍に増え、2023年に実施された看護師国家試験では、大卒者の合格者数が初めて専門学校卒者を上回った。
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【看護師を目指す学生が減っている】
