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"憧れの職業"に何が起きたか 「看護学校」定員割れの衝撃 「不要論」と「新たなニーズ」の間で揺れる准看護師という存在

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看護師の後ろ姿
看護師不足が医療に与える影響は大きい(写真:K+K/PIXTA)
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看護を専門とする資格には、国家資格の「看護師」と、都道府県知事資格の「准看護師」の2種類ある。

両者の違いは、看護師は「科学的根拠に基づく自立した看護実践能力」が求められるのに対し、准看護師は「医師または看護師の“指示”のもとで、看護を実践すること」が求められ点だ。

認定看護師や専門看護師といった上位資格を目指すためには看護師資格が必要で、管理職への昇進ができないなど、キャリアパスも大きく違う。

「准看護師」という資格

なぜ、2つの資格ができたのか。これには次のような経緯がある。

看護師の養成が始まったのは、明治時代。女子の高校進学率が約37%だった当時、看護学校への入学条件が「高卒」だったことから、資格取得のハードルは高く、看護師の絶対数が不足した。

戦後の医療ニーズの高まりもあって、看護の担い手を増やす必要があった国は、臨時の措置として、1951年に准看護師制度を創設。結果、資格の取りやすさ(中学校を卒業していれば准看護学校に入れる)や、医療の専門職であるという優位性などもあって、准看護師を目指す人が一気に増えた。学校数も急増し、1990代中頃までは准看護学校の数が看護学校を上回っていた。

しかし、1980年以降になると、後述する理由により准看護師ではなく、看護師を目指す人が増加していく。対照的に、准看護師の育成の縮小がいっきに進んだ。その結果、長野県のような、極端な定員割れが生じる事態となってしまったのだ。

看護師と准看護師は受験資格も養成課程が違うだけでなく、なってからの業務内容も、給与も大きく異なる。キャリアパスも変わってくるため、今は「看護職を目指すなら看護師」が主流だ。

そもそも、高校進学率99%の現在では、経済的、あるいはそのほかの事情で、中学を卒業後に働きながら准看護師を目指す人たちは少ない。

“准看護師より看護師”という流れは、視点を医療機関側に変えても同様だ。高度化・複雑化している医療現場では、より専門的な看護知識と技術を持つ看護師が必要とされる。反対に、准看護師への期待度はそこまで高くない。

こうした状況もあり、1990年代には准看護師の制度を廃止する議論が本格化した。

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【准看護師は必要なのか?】

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