東京初「赤ちゃんポスト」から1年…医師が見た命の最前線:内密出産や匿名相談で浮かび上がる"孤立する母親のリアル"

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「ベビーバスケットに預けられた赤ちゃんは、当院の新生児科医が健康状態を確認したうえで保護されます。しかし、出産した女性は滞在時間が短いために十分なケアが受けられません。本当は心身ともに支援が必要だと考えています」(大江事務局長)

事情は多様で、正解がない

一方、内密出産においては「どういうケースを内密出産にすべきなのか」という判断が非常に難しいと賀藤院長は話す。

「例えば、ご自身の両親と関係が悪くない未成年女性が妊娠して、内密出産を希望した場合、本当に内密にすべきかどうかは難しい。女性の心身の負担や将来を考えると、両親に打ち明けて、支援してもらったほうがいい場合もある。悩みや孤立している事情は多様で、正解がない」

賛育会のよりよい母子支援への模索は、これからも続いていく(本記事は前編・後編の2回でお届けします。後編はこちら)。

<赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト>

■妊娠したかもSOS賛育会(賛育会)
予期せぬ妊娠に悩む人が匿名かつ無料で助産師・看護師等の資格を持つ女性相談員に電話で相談できる。受付日時は月・水・金の16〜21時(年末年始・祝日は休み)。
■ベビーバスケット(賛育会病院)
誰にも頼れない状況で自宅などで出産した母親が、24時間いつでも生後4週間までの赤ちゃんを匿名で預けることができる。赤ちゃんは病院で健康診断を受けたあと、児童相談所に保護される。
■内密出産(賛育会病院)
出産を内密にしたい母親が、病院の一部関係者のみに身元を明かして匿名で出産できる。医師や助産師、ソーシャルワーカーのチームが内密出産に該当するケースかどうか検討のうえで、ガイドラインに沿って運用している。

プロフィール

賀藤均(かとうひとし)
賛育会病院院長。1981年新潟大学医学部卒業後、東京大学医学部小児科学教室入局。トロント大学医科学研究所留学、東京大学医学部小児科講師などを経て、2008年国立成育医療研究センターに赴任し、2014年度から院長。2022年に賛育会病院副院長を務め、2024年より現職。専門は小児循環器病学。
大江浩(おおえひろし)
「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」事務局長。関西学院大学文学部心理学科卒業後、神戸YMCA、横浜YMCA国際・地域事業本部長、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)事務局長、日本YMCA同盟法人事務局長、社会福祉法人興望館常務理事および認定こども園園長を経て、現職。
大西 まお 編集者・ライター

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おおにし まお / Mao Onishi

出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、宋美玄 著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

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