東京初「赤ちゃんポスト」から1年…医師が見た命の最前線:内密出産や匿名相談で浮かび上がる"孤立する母親のリアル"
内密出産の場合は、職員によるリスク説明や意思確認を経て、院内検討会議が開催されたあとに、東京都の児童相談所に通告される。
どちらの場合も、養育への引き継ぎがカギとなる。賛育会が東京都の児童相談所へ通報することで、新生児は一時保護となる。その後、乳児院への入所または里親への委託を経て、特別養子縁組につながるケースもある。
「当然、こうした仕組み作りは東京都にとっても初めてのこと。さまざまな状況を想定しながら準備を行いました」(賀藤院長)
同時に院内の体制も整えていった。
先述のように同院は地域周産期母子医療センターであり、日常的にすでに特定妊婦や未受診妊婦の受け入れなど、福祉的医療を行ってきた病院だ。それゆえに「現場としてはその延長線上であるとの意識だった」と大江事務局長は話す。
なお、賛育会病院は医療法人ではなく、社会福祉法人賛育会の16施設63事業のうちの1施設であり、法人全体でしっかり理解とコンセンサスを得る必要があったそうだ。
運用を始めてから見えてきた課題
2025年3月から、「ベビーバスケット」「内密出産」の運用が開始。構想から6年。プロジェクト事務局が発足してから、2年の月日が過ぎていた。
これまでの受け入れ件数は、守秘義務のため明かしてもらえなかったが、今のところは対応可能な件数だという。「当初、首都である東京の人口は非常に多いので、もしも件数が多い場合に対応できるだろうか、ということをよく考えた」と賀藤院長は言う。
では、賛育会に助けを求める女性たちには、どういった事情があるのだろうか。
「内密出産の場合、身近に相談したり頼ったりできる人や、居場所のない女性、なんらかの問題を抱えている女性がほとんどです。予想外の妊娠に、どうすればいいかわからなかったり、産むべきかどうか迷ったりしているうちに中絶可能な週数を超えてしまい、それでも妊娠・出産を周囲に知られたくないと来院されます」と、賀藤院長は話す。
ベビーバスケットに自身の子どもを預ける母親も、おそらく同じような状況ではないかと推測する。
実際に運用を始めてからは、新たに難問や課題が見えてきた。
まず、ベビーバスケットの場合は、母親のケアが十分にできないという問題がある。





















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