東京初「赤ちゃんポスト」から1年…医師が見た命の最前線:内密出産や匿名相談で浮かび上がる"孤立する母親のリアル"
賛育会がこうした取り組みを始めたのには理由がある。
もともと賛育会はキリスト教の「隣人愛」を基にし、母子の保健・保護に取り組んできた。1918年に妊婦のための無料の医療相談所を開設。今では糖尿病などの持病や、妊娠高血圧などの合併症、多胎妊娠などの「ハイリスク妊婦」を受け入れる地域周産期母子医療センターとして、重要な役割を担っている。
「賛育会病院は、昔からさまざまな事情を抱える妊婦さんや未受診妊婦さんを受け入れてきました」と、同プロジェクトの大江浩事務局長は話す。
さまざまな事情を抱えた妊婦
さまざまな事情を抱えた妊婦の中には、特定妊婦といわれる人もいる。
児童福祉法によると、特定妊婦とは「出産後の養育について、出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」のこと。経済的な困窮や知的・精神障害、心身の病気、予期せぬ妊娠、若年者の妊娠、DV・性暴力などの事情により、出産や養育の困難が予想されるため、手厚い支援が必要だ。
全国に約8000人いるといわれるが、支援につながれていない女性を考えると、潜在的な要支援者数はもっと多いと考えられる。
一方、未受診妊婦とは、妊婦健診を受けていない妊婦のことをいう。正確な妊娠週数も胎児の様子も、母体の持病や感染症の有無などもわからないため、飛び込み出産になると母子ともに命の危険にさらされる。当然ながら、医療者にも重い責任がかかるうえ、感染リスクも生じる。
そのため、こうした特定妊婦や未受診妊婦の出産は、受け入れ経験や体制、人員などの体制を整えた一部の医療機関でないと対応できないことが多い。





















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