「もうひとり子どもを持ちたいと思えるお産体験」少子化でも売り上げ拡大する"選ばれる産院"の経営戦略

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余裕をもった人員配置は、医師や助産師の疲弊を防ぐだけでなく、地域イベントへの参画や新しい取り組みに挑戦するための遊びの余白を生み出します。

同時に「特定の人がいなければ回らない」という属人化を防ぎ、組織として安定した医療提供を継続するための土台でもあります。

こうした体制を支えているのは、マーケティング視点を持った経営体制です。

医療に精通したスタッフに加え、経営やマーケティングに詳しい人材を採用し、役割を明確に分担することで、分娩数・売上ともに安定的な成長を実現してきました。

規模が拡大することで、育児休暇やオンコール体制など福利厚生も整えやすくなり、結果として医師や助産師の採用・定着につながっています。

また若いうちから院長を任せるなど、意欲ある人材がチャレンジできる機会を積極的に用意している点も、他の医療機関との大きな違いかもしれません。

責任は重いですが、その分、十分な裁量と成長を実感できる環境を整えることが、長期的にはグループ全体の力になると考えています。

初産の満足度が次の妊娠を呼ぶ“地域循環”モデル

ママ0歳から読むしあわせ出産バイブル
ママ0歳から読むしあわせ出産バイブル(ヒーロー出版)

私は、出産体験がその後の人生に与える影響は非常に大きいと考えています。

初産が幸福な体験であれば、「次もここで産みたい」と思っていただけるだけでなく、もう一人子どもを持ちたいという前向きな気持ちにもつながる、これは、地域全体にとっても大切な循環です。

出産という人生の大きな節目を、安心と満足の中で迎えられるかどうかは、その後の子育てや地域への愛着にも影響します。

ファミール産院グループでは、分娩をゴールとせず、産後も地域との接点を持ち続けられる仕組みづくりを行っています。

イベントやコミュニティを通じて親子が集い、顔の見える関係が続くことで、「あの産院があってよかった」と思っていただける存在を目指しています。

その延長線上にある最終的な目標は、年間1万件の分娩を扱えるグループへの成長です。

これは抽象的な理想論ではなく、持続可能な医療提供体制を構築し、事業者として社会から託された役割を果たし続けるための明確な目標です。

少子化という大きな社会課題の中にあっても、産む人、働く人、そして地域のすべてにとって意味のある産院であり続けること。そのための挑戦を、私たちはこれからも続けていきたいと考えています。

産科医療を取り巻く環境は今後さらに厳しくなることが予想されますが、だからこそ私たちは、規模と仕組みの力を活かし、持続可能な産科医療モデルを現実のものとして示していきます。

杉本 雅樹 医療法人社団マザー・キー理事長、ファミール産院グループ代表

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すぎもと まさき / Masaki Sugimoto

筑波大学医学群卒業後、筑波大学附属病院などを経て、2005年に千葉県館山市でファミール産院を開院。以降、医院グループを拡大し、2026年1月には医療分娩施設11施設目となる”ファミール産院ながれやま”が開院。

著書に『ママ0歳から読むしあわせ出産バイブル』と『日本一幸せなお産をしよう』がある。

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