「もうひとり子どもを持ちたいと思えるお産体験」少子化でも売り上げ拡大する"選ばれる産院"の経営戦略

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売上成長の最大の要因は、設備や広告といった単発の投資ではなく、こうした体験全体を設計し続けてきたことにあると考えています。

特に意識してきたのは、「医療の延長線上にサービスを置かない」という姿勢です。

医療は医療として高度化させつつ、それ以外の部分ではあえて病院らしさを排し、宿泊施設やホスピタリティ産業に近い発想を取り入れてきました。

価格競争に巻き込まれないためにも、安易な値下げや過度なオプション追加は行わず、「ここにしかない価値」を磨くことを優先してきました。

新規拠点を検討する際、私たちが最も重視しているのは出生数そのものよりも、「分娩施設の供給が足りていないかどうか」という視点です。

少子化であっても、分娩施設が減少すれば、結果として一施設あたりの需要は高まります。

その空白地帯に、地域に根ざした形で入っていくことが、私たちファミール産院グループの拡大戦略です。

和歌山県有田市での拠点展開は、その象徴的な事例です。

働き方改革の影響で分娩施設が閉鎖の危機に瀕した際、「どうしても地域に産院を残したい」という市長と医師の強い思いから相談を受けました。

数字だけを見れば決して楽な事業ではありませんでしたが、地域医療を守るという大義と、一度交わした口約束を守るという覚悟から引き受ける決断をしました。

結果として、この取り組みは関西圏でファミール産院の名前を知っていただくきっかけとなり、他の自治体からの相談にもつながっています。

自治体との連携は、宣伝面や地域の受け入れという点で大きなメリットがありますが、同時に補助金に依存しすぎない距離感も重要です。

あくまで私たちは独立した事業者としてサービスの質を高め、行政とは役割分担を明確にする、そのバランスが、持続可能な官民連携には欠かせないと考えています。

自治体からの期待に応えることと、現場として無理のない運営を続けること、その両立ができなければ、結果的に地域医療そのものが立ち行かなくなってしまいます。

贅沢な人員配置が医師の採用と定着を同時に成立させる

ファミール産院グループの特徴として、他のクリニックに比べて「スタッフの配置人数が多い」というのがあります。

確かに「スタッフの人数が多い」というのは、短期的なコストだけを見れば効率が良いとは言えないかもしれません。

しかし、働く場所を選ぶ時代において、安心して休める環境やチームで支え合える体制は、もはや特別なことではなく「当たり前」だと考えています。

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