「生活習慣病のフルコース」60代男性は人工透析を、50代男性はインスリン導入回避できたワケ… 患者たちの"共通点"

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ただし、ここで忘れてはならない現実があります。

三人が動き始めたのは、すでに「黄信号」が点滅していた段階だったということです。Aさんはインスリン治療が必要な状態、Bさんもインスリン治療導入のぎりぎりの状態、Cさんに至っては腎代替療法が視野に入る水準まで悪化していました。

それでも彼らは幸運でした。まだ間に合うタイミングで、適切な治療と出合い、そして何より「変わろう」という意識を持つことができたからです。では、もしこの黄信号を見過ごしていたら、どうなっていたでしょうか。もし「まだ大丈夫だろう」「今度から気をつけよう」と先延ばしにしていたら……。

Aさんは一生涯のインスリン治療が必要になり、Bさんは糖尿病の重篤な合併症に苦しみ、そしてCさんは、週3回、1回数時間の人工透析に通う生活を余儀なくされていたかもしれません。

あなたは今、どの段階ですか

健康診断で気になる数値が出ていませんか。最近、疲れやすくなったと感じることはありませんか。階段を上ると息切れする、手足のむくみが気になる、夜中に何度もトイレに起きる……。そんな小さなサインを見逃してはいけません。

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生活習慣病は「静かな病気」と呼ばれます。症状がほとんどないまま、からだの奥深くで確実に進行していくからです。気がついたときには、もう後戻りできない段階まで進んでしまっていることも少なくありません。

三人の患者さんたちのように「変われた」という成功談は確かに希望を与えてくれます。しかし、彼らが経験したのは「崖っぷちからの生還」だったのです。

もしあなたが今、まだその「崖っぷち」に立っていないとしたら、それは絶好のチャンスです。危機が訪れる前に、予防という最善の選択肢をとることができるからです。

三人が実践した「小さな一歩」は、特別なことではありません。誰にでもできる簡単な工夫ばかりです。彼らが教えてくれたのは、完璧を求めず、できることから始めるという大切な姿勢です。

では、もしこうした変化を先延ばしにしてしまったら、どんな未来が待っているのでしょうか。生活習慣の乱れは、実際にどのような病気を引き起こすのか。特に私が専門とする腎臓病との関係について、次回で詳しく見ていきます。「まだ大丈夫」という楽観的な考えが、いかに危険なものかを知っていただくために。

鈴木 孝子 南青山内科クリニック院長、医師

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すずき たかこ / Takako Suzuki

1922年に長崎大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院をはじめ、複数の医療機関で腎臓内科医として経験を積む。2000年、東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了(医学博士)。高島平中央総合病院腎臓内科部長、森山リハビリテーション病院腎臓内科部長、駒込共立クリニック院長を経て、2011年に南青山内科クリニックを開業。慢性腎臓病・慢性腎不全を中心に、早期発見・早期治療の重要性を説き、患者一人ひとりに寄り添った診療を実践している。「患者さんと目を合わせ、気持ちを共有しながら良質な医療を提供する」ことを信念とし、日々の診療にあたっている。著書に『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎)がある。

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