ある日突然「透析患者」に仕事一筋"50代男性"の悲鳴 「気分が悪い」とクリニックに→即入院→透析開始 心が追いつかず…

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病院・人工透析のイメージ
透析治療をめぐる治療選択の現実を、実際にあった事例を通してお伝えします(写真:metamorworks/PIXTA)
健康診断の数値、見て見ぬふりをしていませんか? 疲れやすさ、むくみ、息切れ……小さなサインを見逃していないでしょうか。生活習慣病を放置した先にある、深刻な腎臓病と透析治療の現実――。10万人以上の患者と向き合ってきた腎臓内科医鈴木孝子氏の新著『からだの声を聴く習慣』より一部抜粋し再構成のうえお届けします。
1回目:『「生活習慣病のフルコース」60代男性は人工透析を、50代男性はインスリン導入回避できたワケ… 患者たちの"共通点"
2回目:『「腎臓の数値が悪い」ピンとこない人に伝えたい腎機能の低下を放置が怖いこれだけの"理由" 健康診断で見るべき項目は?

治療選択の複雑な思い

「透析になったら人生の終わり」と頑なに受け入れを拒否する方もいらっしゃいます。思うような未来が描けず、これから続く日々への不安や恐怖感を抱く方も少なくありません。そうした心理的な葛藤も含めて、治療選択の現実を見ていきましょう。

事例1:仕事優先の人生が、あえなく暗転

ある日、仕事熱心な50代男性が、「気分が悪い」とクリニックにやって来ました。

採血検査をすると、腎障害(腎臓の機能が大幅に低下した状態)があることが判明。このままでは命が危ないと思われるほど悪化していました。すぐに入院していただき、カテーテルを挿入。その後、内シャント手術(透析を行うための人工血管の造設)を行い、透析を開始しました。

腎臓内科における透析導入は日常業務の一環ではありますが、ご本人にとっては予想外の展開であったことでしょう。1日でこのような処置を次々と行われ、不安と葛藤と、先が見通せない状況を受け入れることが難しかったのかもしれません。

からだは元気になりましたが、心が追いつかず、うつ状態になってしまいました。心の準備ができないまま、これまでの生活ががらりと変わってしまったのです。さぞ、つらかっただろうと思います。

その方は2カ月ほどで退院されましたが、「このような状況では仕事はできない」と勤め先の会社を退職。さらにはそれが遠因となり、離婚する事態に。二人のお子さんは父親である患者さんが面倒をみることになったものの、病気を抱え、仕事もできず、追い詰められていく様子に胸が痛みました。

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