「生活習慣病のフルコース」60代男性は人工透析を、50代男性はインスリン導入回避できたワケ… 患者たちの"共通点"

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Bさんもインスリン治療を導入するかどうかというぎりぎりの状態でした。最初の面談で、血糖値が高いまま放置すると、さまざまな合併症のリスクが高まることをお話ししました。

たとえば、糖尿病性網膜症による失明、足の壊疽による切断、そして腎不全から人工透析へ進む可能性などです。糖尿病が恐ろしいのは、これらの深刻な合併症を引き起こす点にあります。さらなる悪化を招く前に、何とか食い止めなければなりません。

治療の基本は、正しい生活習慣と地道な自己管理です。ここを徹底できれば、最悪の事態を遠ざけることができます。患者さんにはいつもこうしたお話をするのですが、なかなか心に響かないこともありますし、心に響いても実際に行動に移すのは簡単ではありません。

Bさんの場合、将来起こりうるリスクを理解し、「今動かなければ大変なことになる」という危機感を持っていただけたようです。そして、「なんとかしよう」と心を決められました。

現状を把握するための記録は詳細をきわめたものに

まず取り組んだのは、食生活の改善です。当時の血糖コントロール指導はカロリーを目安にしており、Bさんの場合は晩酌のおつまみなど高カロリーの食品摂取が目立ち、全体的にカロリーオーバーの状態でした。そこで1日の食品摂取量の目標を1800キロカロリーに設定し、現状を把握するために記録をつけることを提案しました。

「週単位で構いません」とお話しして始めていただいたのですが、次第に習慣として定着し、きっちり記録しないと気が済まなくなったようです。アルコールを含めた1日3食の記録を1日も欠かさず、ノートの書き込みはどんどん詳細をきわめたものになっていきました。

もともと数字に強い理系の頭脳の持ち主で、緻密な作業も得意だったBさん。実行力もさることながら、やればやるほど知識も増え、結果につながることが楽しくなっていった様子でした。数値の改善が目に見えてわかるようになり、適度な運動も取り入れる中で、毎晩欠かさなかったお酒も自然と控えるようになり、週2回ほどに落ち着きました。

約3年の治療を経て、薬も不要になり、インスリン治療を導入しなければいけない危機的な状況から見事に回復されました。「自分の手でコントロールできることがおもしろくなった」と自信がつき、感謝の言葉とともに外来を卒業されました。

笑顔で診察室を出ていかれる患者さんを見送るときは、私にとっても本当にうれしい瞬間です。医師として最も充実した時間でした。

事例3:野放図な生活を立て直し、生活習慣病フルコースを撃退
建築業の60代男性・Cさん。
腎機能の悪化に加え、高血圧、高尿酸血症、高脂血症、のちに糖尿病も発症。乱れた生活を見直し、規則正しい生活とアルコールの管理を徹底。持ち前の意欲と実行力を発揮した結果、約5年で腎機能の指標であるクレアチニン値は4.0から2.0に改善し、腎代替療法も回避。
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