「生活習慣病のフルコース」60代男性は人工透析を、50代男性はインスリン導入回避できたワケ… 患者たちの"共通点"
現在は薬の開発が進み、さまざまな治療法が選べますが、1990年代にはまだ選択肢は少なく、インスリンに頼らざるを得ない時代でした。インスリン治療の導入に際しては、状態に合わせて投与する量や頻度、インスリンの種類を決めなければならず、その確認のために入院していただく必要があるのです。
私はまず、生活上の留意点についてお話しし、入院中にそれを実践していただくようお願いしました。病院食なので、栄養バランスについては問題ありません。3食しっかり摂り、よく噛んでゆっくり食べる。甘いものがお好きなようでしたが、おやつはやめていただく。私がはっきりとお伝えすると、Aさんは驚いた様子で聞いていらっしゃいました。
インスリンはおろか投薬さえ不要に
運動の習慣も大切です。30分以上の散歩を毎日、ルートを決めて一緒に歩きました。目が悪く、外を歩くのは怖いとおっしゃっていたため、家に閉じこもりがちだったようですが、少しずつ外出に慣れていかれました。最初はゆっくりしたペースでしたが、徐々に歩行も安定していきました。
こうした生活を続けるうちに、糖尿病の指標であるHbA1cの値が下がり、Aさん自身もからだの状態がよくなっていくのを実感している様子でした。当初はインスリン導入が目的の入院でしたが、結果的にインスリンはおろか投薬さえ不要になり、ひと月ほどでご自宅に戻られました。
その後、Aさんからは毎年のように年賀状が届くようになりました。美しい字で絵なども添えられた素敵なデザインです。「今もインスリンや薬を使わず元気でやっています」と近況を伝えてくださり、生活をしっかり管理されている様子が伝わってきて、とてもうれしく思います。
生活を見直し実践することで、Aさんのように投薬から解放されることも可能なのです。歩く習慣を取り戻したことで自分でできることが増え、生活の幅も広がったことでしょう。
インスリン治療は毎日自分で注射する必要があり、その煩わしさを避けたいと考える方も多いでしょう。しかし、もっと危惧すべきなのは、「インスリンを使えば安心」と現状に甘んじ、食べたいものを食べ運動もしない生活を続けてしまうことです。それでは治療の意味がなくなってしまいます。特に高齢の方は、心身ともに衰えて、いわゆるフレイル状態(からだが弱くなり要介護になるリスクが高い状態)に陥る危険性があります。
糖尿病の診断を受け来院。HbA1cは7.5~8.0。インスリン治療の回避を目標に投薬をしながら生活改善に取り組む。1日の栄養摂取量を1800キロカロリーに設定し毎日の食事を記録。計算や分析が得意な理系の頭脳の持ち主で、食事管理も次第に緻密さを増す。約3年間の治療期間を経て、HbA1cは正常値に改善し、投薬も終了。





















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