なぜ不機嫌な人がいる職場でも仕事が回ってしまうのか
これらのように、あえて口に出さなくとも「そういうものだよね」というように大多数が共有しているルールや認識がそれにあたるわけである。
そして残念なことに、こういった“声にならない前提”はビジネスの現場に多数存在するものだ。当人たちが「積極的に承諾したつもりはない」と考えていたとしても、“無言の承認”こそが暗黙の合意を支える最大の要因のひとつであることは事実なのである。
しかも恐ろしいのは、そうした暗黙の合意が、パワハラをする側とされる側の双方で強化されてしまうことである。
たとえば上司は「俺が怒鳴っても誰も文句を言わないんだから、これでいいんだ」と受け取り、部下は「どうせ言っても聞いてもらえないんだから仕方がない」と思い込んでしまうなど。
どこの職場にもありそうな、そんなすれ違いが組織全体に歪んだ安定をもたらすのだとすれば、変化が阻まれるのは当たり前だ。
問うべきは合意の「有無」ではなく「健全性」
表面的に「全員で話し合った」「会議を開いて合意を取った」ということになったとしても、それらが現実的にメンバーを消耗させるものであったとするなら、チーム全体のモチベーションは失速してしまうだろう。
つまり合意の有無そのものではなく、そこに至るプロセスや合意の質が重要なのだ。著者はそれを「健全性」と表現しているが、まさにそのとおりではないだろうか。そして合意が健全かどうかは、対話の量などではなく、心理的安全性と自律性が確保されているかどうかで決まる。
具体的には、以下のような状態は要注意だという。
意見を求められても「特にありません」と答える人が続出する。
本音は明らかに不満なのに、波風を立てたくない一心で同意する。
・トップダウンの合意に依存
上司や経営層の一方的な発言が絶対視される。
反論すると裏切り者扱いされる空気がある。
・裏合意の横行
表向きは従うふりをしながら、実際には陰口が蔓延する。
表面と裏面で言動が食い違い、結果的に誰もリーダーを信頼しなくなる。
(59ページより)




















