なぜ不機嫌な人がいる職場でも仕事が回ってしまうのか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、だからこそ「健全な合意形成」が重要なのだと著者は主張する。それは現代のマネジメントの「原点」であり、協働するチームをつくるための唯一の原則なのだと。

健全な合意形成とは、公平な情報と心理的な安全性が保たれた場で、参加者全員が互いを信頼し、参加者それぞれが自らの選択として到達しようとする意思の一致のことです。つまり、依存・操作・忖度といった外的コントロールが排除された状態になります。(「はじめに」より)

健全な合意があればチームメンバーは自律的に行動し、信頼関係を築くこともできるだろう。しかし逆に、たとえば支配に基づいているような不健全な合意では、組織としてのパフォーマンス低下や信頼の喪失を招きかねない。

そこで本書において著者は、読者を「健全な合意」へと導こうとしているわけである。

ただし、そこに至るまでには、決して目を背けることができず、いつかはなんとかしなければならないネガティブな壁も存在する。いい例が、不健全の極みであるパワハラではないだろうか。そこで、ここではパワハラに関する著者の考え方に焦点を当ててみたい。

パワハラを育む「暗黙の合意」

これほど世間で話題になるにもかかわらず、パワハラはなぜいまもなお横行するのだろうか?その理由について著者は、ひとつの指摘をしている。

「現実的には、どれだけ不健全な職場であっても“チームが「回って」いる”なら、そこにはなんらかの合意が存在している」のだと。

人間関係がひどく歪んでいて、威圧的な上司を前にした部下が萎縮している現場をイメージしてみよう。そんななかにあってもメンバーが辞めずに働き続けるとしたら――不満を隠しながら無理して働いているのであったとしても――少なくとも表面上は「それでいい」と解釈できる暗黙の合意が形成されている証拠が成立してしまう。
もう少し詳しくいうと、沈黙・回避・同調が積み重なった機能的均衡が生じているためです。これは自発的同意ではなく、構造と心理の力学で生まれる暗黙の前提にすぎません。とはいえ、人々がその前提に従う限りそれは事実上の「暗黙の合意」として働くことになります。(53ページより)
次ページ組織を蝕む暗黙の合意
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事