「SaaSの死」という声も…。急速に進化するAIがここにきて衝撃を与えているワケ

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とりわけ深刻に受け止められた論点として、インターネット経由で業務用ソフトを提供する「SaaS(Software as a Service)」が、AIエージェントによって一部機能を置き換えられうるのではないか、という不安が広がった。いわゆる「SaaSの死」といった強い言い回しもされている。

SaaSとは、ソフトウェアを買い切りで導入するのではなく、クラウド経由で利用し、月額・年額などのサブスクリプションで提供する形態と考えればわかりやすい。AIエージェントが「複数のSaaSをまたいで作業をつなぐ」「業務手順そのものを自動化する」方向に進めば、既存の料金体系や機能単位の課金が揺らぐ可能性がある、というわけだ。

実際に、報道ではセールスフォースやサービスナウ、アドビ、ワークデイ、インテュイットなどの株価が下落したことに触れられている。これまでAI分野の勝ち組と思われていたソフトウェア企業が、最近になって期待はずれの四半期決算を発表し、さらに大規模な人員削減が行われていることも、AIによる「破壊的なイノベーション」と思われつつある。

「AIエージェント」による廃業、失業が急増する?

こうした不安は、実は今に始まったことではない。日本でも「AIエージェント」という言葉で、業務の自動化が雇用や産業構造を変える可能性は以前から語られてきた。AIエージェントとは、自律型AIとも呼ばれ、人間の具体的な指示が逐一なくとも、状況に応じて作業を組み立てて実行するAIのことだ。

このAIエージェントが、様々な分野で人間の仕事を奪うのではないか、と危惧されてきた。例えば、法務業務を効率化するサービスを始めた「リーガルエージェント」は、利用者がチャット欄から依頼した仕事を、AIがマイクロソフトの文書作成ソフト「Word」を使って、株主総会の議事録や契約書の修正などを自動的に行ってくれるというものだ。人間がやると、通常2時間程度の作業だったものが10分で完了するなど、作成時間を9割減らすことになるそうだ(日経MJ、2026年2月20日より)。

そもそもアンソロピックは、OpenAI出身者のダリオ・アモデイ氏らが2021年に創業したAI開発企業だ。同社は、現在も株式を公開していないが、その企業価値は「3800億ドル」と評価されており、日本のトヨタ自動車の58.5兆円に迫る勢いとなっている。一躍AIブームの主役に踊り出たと言っても過言ではないかもしれない。

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