20年前に東大が課した「まるで通訳試験」の衝撃。英語リスニング難問で浮き彫りになる"令和に求められる必須能力"
次の(2)は×です。“The 比較級 …, the 比較級 ~”(…すればするほどますます~だ)の構文は「考えれば考えるほど」の部分で正しく使われており、“suffer from ~”も「~に苦しむ」という意味なので、一見すると問題なさそうですよね。
ただ、“suffer from ~”は病気やストレスといった体の不調、あるいは貧困や飢餓といった社会的な問題に対して使うのが一般的です。そもそも「理解に苦しむ」とは、簡単に言えば「理解できない」ということでしょう。それなのに“suffer from understanding”だと、「理解することによって苦しみが生まれる」という、おかしな意味になってしまいます。
本来は“I can’t understand it”などと訳されるべきで、単純に日本語と英語を1対1で変換しているだけだと、つい引っかかってしまいそうな問題です。
(3)も答えは×です。これは「そんなわけで」の英訳になっている“It’s because …”の部分がおかしいですね。“It’s because …”は「それは…だからだ」と理由を述べる際の表現です。そのため、問題の英文は「それは彼が学校に戻ったからだ」という意味になり、彼が学校に戻ったせいで何かが起こったように聞こえてしまいます。
そうではなくて、彼は何か理由があって学校に戻ったわけですよね。したがって、“It’s because …”ではなく、“That’s why …”(そういうわけで、…)と表現すべき内容でした。これもパッと音声を聞いただけだと、因果関係が逆になってしまっていることに気づきにくいかもしれません。
いかがでしたか。英語をそれなりに勉強している人でも、即座に〇か×かを判断するのは難しい問題だったと思います。では、東大はなぜこのような変わった切り口の問題を出したのでしょうか。
東大が求めている受験生の姿
まず考えられるのは、東大が受験生に対して、どんな状況でも対応できるブレない実力を求めているからということ。東大入試の中でも、英語は特に問題の形式の変化が多い科目です。この通訳試験のようなリスニング問題も、英語を正しく聞き取るのはもちろん、文法や語法と照らし合わせて日本語の意味を反映できているか、素早く判断しなければいけません。
見たことのない問題でも臨機応変に対処できて、初めて本物の実力だと言えるでしょう。今はインターネットの影響もあって、受験の情報や対策法がすぐに共有される時代ですが、このような目新しい問題は受験生にとって事前に対策の取りようがなく、付け焼き刃の実力ではすぐにボロが出てしまいます。




















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