「怖がらず自由に楽しんで」——。DJ・スタイリスト「マドモアゼル・ユリア」をとりこにした着物の奥深い世界
また、着物をワードローブの一つとして考えてみることで、自分に似合う色を改めて意識することにつながるという。
「着物を選ぶときに、肌映りや全体のバランスをじっくりと考えることは、洋服選びにもフィードバックされると思います。体型の変化にも柔軟に対応でき、長く付き合える点も、年齢を重ねた世代にとっては大きな魅力ですよね」
ルールを知れば「自由に」着物が楽しめる
ユリアさんが着物に関心を持つようになったのは20代に入ってから。それまでは海外の音楽やファッションに夢中だったという。
「母親が着付けの仕事をしていたため、着物は身近な存在だったのですが、特別な関心を持っていませんでした」
しかし、自身が影響を受けてきた海外のデザイナーやアーティストたちが、着物や日本文化からインスピレーションを得ていることを知り、着物の見え方が大きく変わった。着物をきっかけに、さまざまな日本文化への扉が開いていったという。
「その面白さを体系的に学びたいと考えて、28歳で京都造形大学(現・京都芸術大学)へ進学しました。着物の歴史や文化を学び直したんです。卒業後、着物のスタイリングや着付け教室の活動を仕事として始めました」
ユリアさんは、着物を着るようになった20代前半、着物のルールに関して「誰かに叱られることに怖さを感じていた」と振り返る。
着物に一歩踏み出せない理由としてよく挙げられるのが、「間違えたら指摘されそう」といった不安だ。いわゆる「着物警察」の存在を気にする声も少なくない。
その点に関して、ユリアさんは「ルールを守るためというより、自分で納得するために、まずは着物について徹底的に調べることにしました」と話す。
着物の決まりごとの多くは、季節感や素材、場にふさわしい装いといった合理的な理由に基づいている。一方で、比較的最近になって商業的な背景から生まれたルールもあることがわかったという。そうした違いを知ることで、「守るべきもの」と「自由に楽しんでいいもの」を自分なりに判断できるようになっていった。
「たとえば、ハンドバッグはそもそも西洋文化ですよね。着物の文脈にない文化だからこそ、必ずしも専用品にこだわる必要はないと考えるようになりました。そのため、いつも洋服用のバッグを合わせているんです。
帯留めも、現代では装飾的な意味合いが強いものなので、ブローチを帯留めとして使ったり、斬新なデザインのものを選んだりしています。ルールが作られた背景や歴史を理解することで、自由に楽しめる余白が生まれました」





















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