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「隠し持っていた出刃包丁で右腹を…」朝ドラで話題"明治の欧米化"やりすぎて殺された大臣とは

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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駆けつけた警察官が西野を切りつけて、西野はそのまま息絶えたが、致命傷を負った森もこのとき死亡した。

森を暗殺した西野は、山口県出身の士族で、愛国心の強い国粋主義者だった。だからこそ、伝統を軽んじるような森の言動が許せなかったのだろう。

暗殺を決意させた森の“ある行動”

直接のきっかけとなったのは、伊勢神宮においての、森のある一つの行動だった。西野が所持していた斬奸状には、次のようなことが書かれていた。

「文部大臣である森は、伊勢神宮に参拝したとき、泥靴のまま神殿に上がったり、ステッキで神殿の御簾をあげたり、また礼拝もせず、神を敬う気持ちが欠けていた。それを傍観することができず、手をかけた」

西野は神主の息子でもあった。堪忍袋の緒が切れた、ということだろう。

しかし、報道は事実ではなかった。森が皇族門で門扉の帳(とばり)をステッキで持ち上げようとしたことが、「ステッキで御簾をはねた」と誤解され、それが新聞などで報じられたことで、広まったらしい。

それどころか、森に反感を持つ神官たちによる完全なでっちあげだったとさえ言われている。

誤解が生んだ悲劇だが、明治政府が強引に推し進めた西欧化への不満を、森が一身に受け止めたともいえるだろう。

暗殺事件が起きたのは明治22年なので、ハーンとセツが熊本に転居する2年前のことだ。その頃になってもなお、明治維新によるドタバタは続いていたのである。

【参考文献】
柴田宵曲『明治の話題』(ちくま学芸文庫)
小泉凡著『セツと八雲』(朝日新書)
NHK出版編『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』(NHK出版)
工藤美代子著『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)
櫻庭由紀子著『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』(内外出版社)

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