「アプリ戦略」未熟な企業が10年後選ばれない理由 アプリファースト戦略がブランド成長の分岐点

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人口減少、顧客接点の分散、データ洪水――。今、日本企業の成長戦略は大きな転換点を迎えている。従来のマーケティングやデータ活用ではもはや十分な成長は望めない。カギを握るのは「獲得した顧客をいかに囲い込み、サービスを使い続けてもらうか」だ。その中核にあるのが、スマホとアプリだ。
「スマホはもはや生活インフラ。企業にとって、顧客と24時間つながる貴重な接点でもあります」と指摘するのは、Googleでスマホ創成期より、9年間アプリのエコシステムの拡大に力を注ぎ、現在AI広告配信プラットフォームを展開するMolocoで日本事業を統括する有木剛氏。Google出身の機械学習エンジニア、アン・イクジン氏が創業したMolocoは、世界190の国と地域・13拠点で事業を展開するグローバル企業だ。

立地よりも「アプリ」が選ばれる時代へ

「スマホがあれば、外出先でもよいお店をその場で調べて予約までできます。企業にとっては、取得したユーザーの情報からいかに顧客満足度の高い商品・サービスを提供できるかが企業の競争優位に直結します。ただし、四六時中大量のデータが集まるため人手による分析は限界で、AIを活用して短時間での処理が必要です。一方、少子高齢化で人口は減少局面に入り、効率よく新規顧客を獲得し、同時に獲得した顧客をいかに引き留めるかの競争も加速しています」

Molocoの有木剛氏はそう力説する。

有木 剛
Moloco Ads.日本事業責任者

そうした中で、企業はどうマーケティングに取り組んでいけばいいのか。それは、スマホアプリを顧客接点の中心に据える「アプリファースト戦略」だ。

Molocoが男女2000人を対象に、2025年7月に実施した『スマホアプリ利用動向に関する調査レポート』では、消費行動の変化が鮮明に表れた。

日用品の購買では45%のユーザーが公式アプリを保有する店を優先すると回答。月高額利用者層(調査回答の平均値月額7500円以上消費する層)はさらに高く、その割合が61%に達した。飲食分野でも32%が「公式アプリをインストールしているチェーン店を選ぶ」傾向にあるという。

従来は立地が店舗の競争力を左右していたが、「自社アプリをインストールしてもらうか」「いかに顧客のアプリ利用を活性化するか」が重要になってきたわけだ。

なぜアプリは使われ、購買につながるのか?

ではなぜ、アプリユーザーの利用頻度や利用金額が高まるのか。有木氏は、その理由をこう説明する。

「Webは検索から自社サイトに流入する初見客が多く、さらにログインが必要になる際に離脱者が多くなります。一方アプリは基本的にログイン状態が保持され、スムーズ。思い立った瞬間に使えます。さらにアプリはファーストパーティデータ(※1)が活用でき、プッシュ通知の機能があるので、信頼性が高いユーザーの行動データを基に、その顧客のペルソナに合わせたコミュニケーションを可能にします」

プッシュ通知機能では、例えば価格変動の通知、再来店のリマインド、個々の嗜好に合わせたレコメンドなどができる。

「アプリがインストールされている時点で、そのユーザーはすでにブランドへの好意度が高いケースが多い。だからこそ、LTV(顧客生涯価値)が伸びやすいんです。アプリが当たり前の世代が消費の主役となる次の10年、『アプリ×AI』活用へ戦略的に投資し、ユーザーの期待を上回る価値を提供できるか否かがキモになると思います。しかし、日本企業の『アプリ×AI』は遅れているのが現状です」

アプリをリリースしただけで、ユーザー獲得が進まない。インストール後のエンゲージメント設計が弱い。蓄積したデータの分析・活用が追いつかない。専門人材不足で広告運用が属人化。こうした課題は珍しくない。背景にあるのが、データ量の爆発だ。常時取得される行動データを人手で分析するのは、もはや現実的ではない。ここで不可欠になるのが、AIの活用である。

マーケターの業務はAIが代替する時代へ

これらの課題解決に貢献するのが、Molocoが提供するAI広告配信プラットフォームである。新規インストール獲得だけでなく、既存ユーザーのリエンゲージメント(※2)までを一貫して支援する。

「目標、予算、クリエイティブ、ファーストパーティデータを登録すれば、すぐに広告配信を始められます。従来はマーケターが時間をかけて行っていたユーザーの探索は、AIが担います」

広告を表示させることができるアプリは世界で300万以上。1日あたり20億人超へのリーチが可能。この規模を人力で最適化するのは現実的ではない。重要なのは「どのデータを使い、AIをどう回すか」だ。その設計・チューニングまでMolocoが伴走する点が特徴だ。

Molocoを活用する企業は、銀行やショッピングや飲食チェーン、人材系、ゲームを始めとするエンターテイメントなど多岐にわたるが象徴的なのは、広告評価指標だ。Molocoの顧客の約9割は、「インストール数」ではなく、インストール後の行動(口座開設、購買、継続利用など)」をKPIに設定している。

例えば、ある銀行では、従来店舗で行っていた口座開設業務をアプリに移管し、24時間365日口座開設ができるように間口を広げると同時に、スマホ中心に生活する若い世代の獲得にMolocoを活用。新規口座獲得数が活用前と比較すると約3割増という結果に。業務効率化と顧客基盤拡大を同時に実現した好例だ。

国内市場は人口減少や円安による厳しさを避けることはできない。海外展開によって新規顧客開拓や外貨の獲得の機会創出も考えていく中で、アプリを通じた戦略も重要な一手となるだろう。Molocoはマーケターが国内にいながらアプリの海外展開を可能にする。実際に日本に進出している中国・韓国・米国などの海外企業は、現地にいながらMolocoを活用しているケースも多いという。

「アプリが当たり前の世代が、これからの消費の主役になります。次の10年を見据えたとき、『アプリ×AI』に投資できるかどうかが、企業の明暗を分けるのではないか」(有木氏)

アプリをどれだけ成長戦略の中核に据えて、投資ができるのか。今、その選択が経営に突きつけられているだろう。
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※1ファーストパーティデータ:自社で直接、顧客から収集・保有している信頼性と正確性が非常に高いデータ。Webサイトの行動履歴、購買履歴、会員情報などが含まれる
※2 リエンゲージメント:一度自社の商品・サービスに興味を示したものの、利用・購買等に至らずに離脱・休眠状態にあるユーザーに対して再び利用・購入、再活性化を促すマーケティング戦略のこと