育業サポートから生まれた組織の変化と好循環 時代に合わせて常に進化し続ける働き方とは

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栗原康岳さん、黒澤菜美さん
東京都は、2022年、育児休業の愛称を公募によって「育業」と決定。育児を「休み」ではなく「未来を育む大切な仕事」と捉え、育業を社会全体で応援する気運醸成に取り組んでいる。
1974年にがん保険を提供する保険会社として創業したアフラック生命保険。「新たな価値の創造」を企業理念に掲げる同社には、創業以来脈々と受け継がれてきた「人財を大切にすれば、人財が効果的に業務を成し遂げる」という基本的な考え方がある。この考え方の下、すべての社員の多様性を尊重し、その能力を最大限に生かす働き方を実現するため「育業」にも積極的に取り組んでいる。同社で「育業中」のメンバーを同僚としてサポートしている栗原康岳さんと黒澤菜美さんにお話を伺った。
※2025年11月取材時点

柔軟に働ける環境整備は、社員の育業や復帰後の両立も後押し

アフラック生命保険は、2015年から「アフラックWork SMART」により働き方改革を推進し、戦略的ハイブリッドワーク(オフィスワークとリモートワークを最適に組み合わせた働き方)やスーパーフレックスタイム制度(コアタイムのないフレックス制度)の導入など、「時間」と「場所」にとらわれず、柔軟に働くことができる環境を整備している。ともに育業経験者であり、現在は2人の子どもを育てながらフルタイムで仕事をする栗原康岳さんと黒澤菜美さんは、「こうした会社の考え方や制度が社内に浸透し、運用が定着しているからこそ、安心して育業でき、復帰後も子育てと仕事が両立できる」と口をそろえる。

栗原康岳さん、黒澤菜美さん
(左)栗原 康岳さん、(右)黒澤菜美さん

また、すべての社員の多様性を尊重する同社では、育児だけではなく、介護や自己啓発など様々なライフイベントに合わせた多様な働き方ができるよう、制度を整備し、社内で「お互い様」の文化を根付かせ、育業を会社全体で支えている。

育業サポートが業務効率化や組織の連携強化につながる

栗原さんと黒澤さんが勤務するコンタクトセンター統括部アソシエイツサポートセンターでも「お互い様」文化が根付いている。同部署は、同社保険商品の販売代理店からの問い合わせを受け付けるコールセンター業務を担っており、現在、1人の男性社員が育業している。メンバーが不在になることで生じる業務負荷を部署ではどのようにカバーしているのだろうか。

「今いるメンバーで仕事をうまく回せるよう、チームの体制を変えることで対応しています。特定の誰かに業務が集中することはありません」(栗原さん)

コンタクトセンター統括部アソシエイツサポートセンターは、事務手続きを案内するセンターやシステム操作面を案内するセンターなど業務が複数に分かれており、これまで担当も縦割りとなっていた。しかし、メンバーの育業により業務のやり方を組織全体で見直していく中で、社員が複数のセンターを兼任できるよう体制を変更した。そのことで、組織内のコミュニケーションがより円滑になったとともに「業務を横断的に見ることができるようになった」という。

図1
栗原康岳氏

「メンバーの育業をきっかけにチームの体制を変えたことで業務はより効率化し、協力体制もより強化されたと感じています。また、引き継ぎをできるだけ早めにしてもらうことで、サポートする側も引き継ぐ業務への理解がスムーズに進み、視野も広がりました。育業経験者としては、『お互い様』という気持ちがありますが、気持ちの面だけではなく、組織として効率的に、働きやすくなった実感があります」(黒澤さん)

また、これまでは社員が整えていた業務マニュアルについて、問い合わせ窓口の最前線にいる派遣社員の方々にも業務範囲内で携わってもらった結果、より実践的なマニュアルにブラッシュアップされるというプラスの結果も生まれた。

「従来の業務体系は、社員、派遣社員というピラミッド構造でしたが、様々な立場の人がつながり合うインクルーシブな組織に変わってきています。派遣社員の方からも、会社のことをより深く理解できるようになった、やりがいを感じるといった前向きな意見が多いです」(黒澤さん)

図2

「当部署だけではなく、全社的に言えることですが、アフラックでは『誰が何をしているかわからない』とならないよう、普段からタスクを見える化することで業務を管理しています。そのため、業務の引き継ぎなどは、比較的スムーズです。引き継ぎを受ける際には、効率化できる作業はないか、そもそもこの作業は必要なのかと検討しながら整理しました。育業をサポートすることが、組織全体の業務効率を上げる良い機会になったと感じています」(栗原さん)

育業が生む好循環

同社は、経営トップのコミットメントの下、育業しやすい制度設計や風土醸成、育業からの復職支援などの様々な取り組みを行い、育業を積極的に推進してきた。その結果、2016年に1.6%だった男性育業取得率は、2019年から6年連続で100%を達成。同社では、すでに育業が当たり前になっている。

図3

このような中、自身も育業経験者である二人は、育業当事者を支える側としてどのようなことを意識してサポートしたのだろうか。

「育業当事者は様々な不安や後ろめたさを抱えているものです。自分自身も育業経験者である先輩からのアドバイスで安心できたため、今度は自分が伝える番だという思いで、これから育業する人の背中を押すようにしました。具体的には、キャリアへの影響や事前の業務整理、職場でのコミュニケーションなど、体験談とともに『大丈夫だよ』と力強く伝えました。また、今は育業する予定がない人も病気・介護・自己啓発など、それぞれの事情で休むことはあるはずです。誰もがサポートされる側になる可能性があり、『お互い様』の意識を持つことは重要だと感じています」(栗原さん)

黒澤菜美さん

「産休に入る前に、産休予定者向けの研修があり、その中で、これから自分たちの身に起こるリアルな話を聞けたことや、保育園探しの時期などのアドバイスをもらえたことで、育業の解像度がぐっと上がるという経験が私自身にありました。そうしたことから、これから育業する人に対し、経験からわかったことを積極的に伝え、育業についてイメージしやすくなるようにしました」(黒澤さん)

さらに、育業をサポートしている側の立場ではなく、育業経験者だからこその気づきについても語ってくれた。

「育業したことで、メンバーの支えや社内のサポートに改めて気づき、ありがたいと感じることが多くなりました。そうした思いをきちんと言葉にして伝えるよう意識しています」(黒澤さん)

育業をサポートすることによって、組織的に業務の効率化が進むだけではなく、「育業当事者」と「育業を支える同僚」の間で互いに温かな思いや感謝の気持ちが循環している。

また、同社では、ダイバーシティ推進部が主体となって様々な育業経験者の話を聞く機会を社内に提供している。こうした取り組みは育業当事者のみならず、育業をサポートする側にとっても参考になっており、「お互い様」や「支えあいは巡る」意識の醸成に寄与しているという。

「育業経験者の話を聞くことがいちばん参考になりますし、そういった機会を設けてもらっているので、育業を会社がバックアップしてくれているのだと感じます。また、育業経験者の話を積極的に聞く社員も増えており、育業を応援する雰囲気が社内で醸成されているので良い影響だと思います」(栗原さん)

社員のライフワークマネジメントを支援し、組織としてのパフォーマンスを最大化させることを目指し、時代と社会に合わせた働き方を生み出してきたアフラック。育業をサポートすることにより生まれた好循環も、新たな「当たり前」として同社に定着し、多様な人財が働きがいをもって活躍できる組織へとさらに発展していくに違いない。

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