新卒から転職潜在層まで直接つながる攻めの採用 LinkedInで広がる採用の新しい可能性とは?

年間約450名採用目標を達成する、ダイレクトリクルーティング戦略
――LIXILでは「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」をパーパスに掲げ、機動的で起業家精神にあふれた企業への変革を進めています。この実現に向け、人を中心とした価値創造や人材戦略をどのように位置づけているのでしょうか。
Wolly LIXILは人々の生活を支える製品やソリューションを提供する企業です。そのため、専門人材だけでなく「生活者視点」を持つ多様な人材の採用を重視しています。これによって、日本のものづくりを支える力を広げています。
また150カ国以上で事業を展開する中、近年はアジア市場の成長が顕著で、インド・ベトナム・タイなどで採用ニーズが急増。一方、欧米ではリフォーム需要が中心に移りました。各エリアの生活様式やニーズ、市場としてのステージに応じて必要なスキルを持った人材の採用を進めています。
――Wollyさんが2024年にLIXILの人事・採用を担当し始めた当初、採用体制にはどのような課題がありましたか。
Wolly 最大の課題は、応募を待つ「受け身型」の採用体制でした。年間の採用目標は約450名に上りますが、エージェントから膨大な数の履歴書が届き、選考対応に多くの労力を要していました。当社の採用ニーズと合致しない候補者も多く、マッチングの精度という点で課題があったんです。この状況を受け、「必要な人材は自ら探す」ほうが効率的だと考えるようになり、前職で実践していたダイレクトリクルーティングの考え方をLIXILにも導入しました。
Wolly Wu氏
――具体的なダイレクト採用のプラットフォームとして「LinkedInタレントソリューションズ」を導入したんですね。
Wolly その通りです。LinkedInは候補者に直接アプローチできるため、自社に合った人材を自ら見つけにいく採用に非常に適しています。また、LinkedInは新卒・中途採用を一元的にカバーできますし、地方人材の登録も増えている点も魅力です。
経歴だけでなく、投稿やコメントから人柄や価値観も見えるため、より深く候補者を理解できます。候補者をタレントプールに登録しておくと、その方が投稿をした際に通知が届く仕組みもあります。さらに、「Open to Work」という機能で、その方の転職意欲の有無を確認できる。こうした仕組みのおかげで、候補者の動きをリアルタイムに把握し、タイミングを逃さずアプローチできるようになりました。
また、「一度カジュアルに話しませんか?」といった自然なやり取りを通じて関係を築けるのも特徴です。候補者が知人を紹介してくれることもあり、つながりを軸に広がる採用が実現しています。
必要な人材への“最短距離”LinkedInタレントソリューションズ
――改めてLinkedInのタレントソリューションズとはどのようなサービスなのか、ポイントを教えてください。
デミーザ LinkedInは世界約200以上の国・地域で利用される、仕事とキャリアに特化したプロフェッショナルネットワークです。13億人を超える登録者がおり、企業に、採用・育成・営業の支援など人事戦略の全体を支えるソリューションを提供しています。とくに、APACでは3億5300万人以上が登録しており、これは北米や欧州を上回る規模です。APACでの成長が著しいLinkedInは、LIXILさんのようにアジア市場で必要なスキルや経験を持つ人材を採用したい企業に適したプラットフォームとなっています。
中でも、タレントソリューションズは、採用と育成(LinkedInラーニング)の両輪で人材戦略を支援するプラットフォームです。とくに採用分野では、LinkedInの登録者から、求めるスキルや経験を持つ人材を検索し、直接アプローチできます。
LinkedInのプロフィール情報には職務経験やスキル、キャリア志向が詳細に可視化されており、「今このポジションに最も適した人材は誰か」を定量的に把握することができます。採用活動で得たデータは分析にも活用でき、採用戦略や人材要件の精緻化につながります。採用のスピードと精度を高め、グローバルな人材獲得競争で競争優位を確立するための基盤として、大企業から中小企業、スタートアップ企業に至るまで、幅広い企業にご活用いただいています。
デミーザ美香氏
――採用プラットフォームが多数ありますが、LinkedInの強みはどこにあるのでしょうか。
デミーザ LinkedInは「転職サイト」ではありません。大きな特徴は、転職を考えている人だけではなく、転職意向がない潜在層とも直接つながれる点です。今、積極的に転職を考えていない方でも、企業の情報を収集したり、ネットワークを広げたりする目的でLinkedInに登録しています。企業側は、こうした潜在層とも長期的な関係性を築くことができます。タレントプールに候補者を蓄積し、時間をかけて関係を育てられる点は、即戦力確保だけでなく“未来の採用力”の強化につながります。
こうした「企業と個人の新しい関係づくり」を支える基盤として、すでにグローバルではLinkedInの活用が広く定着し、日本でも近年、導入が大きく広がっています。登録者も13億人を超えた中、世界約200以上の国と地域の企業がLinkedInタレントソリューションズを活用しており、新卒、中途、グローバル人材、IT職など、多様な領域で導入が進んでいます。
LinkedInに登録する学生が急増中。キャリアオーナーシップを育てる新しい文化
――LIXILでは新卒採用でも、LinkedInを活用しているそうですね。
Wolly 「LinkedIn Student Career Week」というLinkedIn主催のグローバルキャリアイベントもあって、このイベントへの参加をきっかけに学生とのつながりが増え、エントリーにつながるケースが着実に増えました。実際、今では日本の学生の登録も増えている実感があります。とくに首都圏だけでなく地方・海外からも優秀な学生が集まり、当社の採用実績にもつながっているのが印象的です。
デミーザ 日本の登録者数は2023年以降で36%増加し、その中でもZ世代の比率が20%上昇するなど、日本でも学生のLinkedIn登録は年々増えています。学生が主体となって自ら企画・発信し、同世代のLinkedIn利用拡大と長期的なキャリア形成への貢献を目指して活動する「LinkedIn Student Club」(※)や、彼らと企業が一緒になってつくり上げる「LinkedIn Student Career Week」というイベントなど、学生向けの取り組みも展開しています。2025年10月に開催した「LinkedIn Student Career Week」では、事前に参加登録をした学生は5000名を超え、約40社以上が参加する規模に成長しました。参加企業からは、国内外の学生やグローバルなマインドセット、多様な価値観を持つ学生など、普段は出会えない層と接点を得られた点を高く評価いただいています。
日本では「履歴書提出から接点が始まる」慣習が根強いですが、LinkedInはプロフィール作成・スキル可視化・発信を早期に促すことで、学生がキャリアオーナーシップを持つ土壌を整えています。
――LinkedInが採用やキャリアにもたらすインパクトは、どのようなものでしょうか。
デミーザ テクノロジーの進展により、仕事で求められるスキルが急速に更新されています。企業には「スキルで採用する」体制が、個人には「キャリアオーナーシップ」の強化が不可欠です。LinkedInは豊富な人材データとAIを組み込み、スキルベース採用を支援しています。
LIXILさんのように「このスキルを持つ人が、世界のどの地域にどれくらいいるのか」を把握したい場合、LinkedInのデータに基づくレポートを提供することができます。LinkedInには、スキル別・地域別の人材分布を可視化する分析ツールがあり、例えば「特定スキルを保有する人材が北米にどの程度、アジアにどの程度いるのか」といった情報を確認できます。
さらに、AIを実装した採用のためのエージェント「LinkedIn Hiring Assistant」は、スキルベースでの採用アプローチをより強化します。従来の枠にとらわれない多様な候補者を抽出するため、候補者検索やプロフィールの確認など、繰り返し発生する作業に多くの時間が奪われてしまうといった採用担当者の課題を解消できます。例えば、「この人と同じようなスキル、経験を持った人を採用したい」と既存社員のプロフィールを指定すれば、わずか15分ほどで類似スキルを持つ候補者がLinkedIn登録者からリスト化され、マッチ度まで可視化します。
また、求人票の下書きや、マッチ度が高い候補者のショートリスト化、個別最適化されたメッセージやフォローアップの作成まで、幅広く対応しているため、採用担当者は候補者との関係構築や、より良い候補者体験の提供といった、本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。
実際に、LinkedIn Hiring Assistantを活用した企業では、1ポジション当たり4時間以上の業務効率化や、プロフィール閲覧数の62%削減を実現し、候補者のInMail開封率は約70%向上しています。(いずれもLinkedIn調べ、2025年7月時点)
LinkedInの保有する13億人を超える登録者、約7000万社の企業、4万2000社以上のスキル情報からなる厚い人材データを基に、企業は採用戦略や拠点計画をより精緻に立てることが可能になると思っています。ぜひLinkedInを「データに基づく人材戦略の立案」に役立てていただきたいです。
Wolly ビジネスを展開するうえで、人材がいなければ事業は成り立ちません。そこで、LIXILは「要件定義に基づく→探索」だけでなく、「市場に存在するタレントの能力と動向を把握し、事業計画に反映させる」という新たなアプローチへと転換しました。
国内での適材が限定的である場合は、グローバルなタレントプールから最適な候補者を見いだすことが重要になります。その判断を支える基盤こそが、LinkedInの保有するスキルデータとネットワークです。外資系では一般的ですが、日本企業ではまだこれから。だからこそ伸びしろが大きく、コスト・スピード・精度の面で導入効果を実感できるのではないでしょうか。
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