AI PCが「こだわり」を生かす伴走者になれる理由 速度と安全性を両立する「ローカルAI」の威力

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本HP マーケティング本部コンシューマーマーケティング部長梶間 渉氏とパーソナルシステムズ事業本部クライアントビジネス本部CMIT製品部長の岡 宣明氏
進化を続けるAIをいかに活用するかが企業の必須課題となってきた。しかし、セキュリティへの懸念や、業務に対する「こだわり」が壁となり、本格活用に踏み出しきれない企業も多いだろう。この壁を打ち破ると期待されているのがAI PCだ。日本HPの調査によれば、62%の企業が将来のAI活用を見据えてAI PCの採用を計画しているという。なぜAI PCはAI活用に役立つのか。日本HPの担当者に聞いた。

知識・スキルがなくてもAIを活用できる「AI PC」

AI活用を考察するうえで、注目したいグローバル調査(※1)がある。「AIについてよく理解している」と回答した人の割合で、日本は32カ国中最下位。また、「AIの進化により今後3~5年以内で自分の仕事がよくなるか、悪くなるか、それとも変わらないか」という設問に対して、日本は「今までと変わらない」と回答する人が半分以上を占めた。

この結果について、日本HP マーケティング本部コンシューマーマーケティング部長の梶間渉氏は「仕事に“こだわり”を持って取り組む人の多さを示しているのでは」と分析する。

「調査結果を受けてさらに調べた結果、日本のビジネスパーソンは非常にまじめに仕事に取り組み、自分なりに工夫して向き合っていることがわかりました。仕事へのこだわりが強いからこそ、『AIがあっても自分の仕事は変わらない』と考えているのでしょう。AIに対する理解度の低さも、『完璧に理解しないと“よく理解している”とはいえない』という日本人の国民性の表れとも感じ取れます」(梶間氏)

日本HP マーケティング本部 コンシューマーマーケティング部長 梶間 渉氏
日本HP
マーケティング本部 コンシューマーマーケティング部長
梶間 渉

丁寧にじっくりと仕事に向き合っているともいえるが、そうした意識がAIの活用を遅らせているのかもしれない。梶間氏は、さらにこう続ける。

「もしその仮説が正しいとすれば、属人的な仕事が多いために、AIを活用するイメージが湧かない人も少なくないと思います。リスクを恐れて経営のコア部分に関わるようなデータとつなぐことができず、調べもの程度の活用にとどまらざるをえない現実もあります」

こうした状況を変えるのは決して簡単ではないが、AI PCは突破口を開ける可能性を持っているという。

「AIは、テクノロジーに明るくない人にとってハードルが高い技術だと思います。『本当に自分で扱えるのだろうか』といった不安を抱える人も少なくありません。

しかしAI PCでは、特に新たな知識やスキルを身に付けなくてもAIを活用することができます。PCよりも先にさまざまなAIを取り込んだスマートフォンがごく自然に使われているように、AI PCによってAI活用が当たり前となる時代がやってくる可能性は十分にあるでしょう」(梶間氏)

※1:HPが2024年春、32カ国の約2万3500人を対象にオンラインインタビューで実施した調査

「AIのローカル化」で進化する処理速度と安全性

では、AI PCは具体的に何ができるのだろうか。従来のPCや、Webで生成AIを利用するのとどう違うのか。日本HPパーソナルシステムズ事業本部クライアントビジネス本部CMIT製品部長の岡宣明氏は、次のように語る。

「インターネットを経由せず、デバイス上でAIを使えるのが従来のPCとの最大の相違点です。生成AIも、Webブラウザではなくローカルで使えるので、圧倒的に処理速度が上がります。特に画像は、Webブラウザで生成しようとすると一定の時間がかかりますが、AI PCならばすぐにできます」

日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部長 岡 宣明氏
日本HP
パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部長
岡 宣明

ローカルでAIを使えるため、顧客情報などの機密情報を活用しやすいのも特徴だ。とりわけコンプライアンスやセキュリティのレベルが高く、クラウドで機密情報を扱うことが制限されている業界、例えば金融や医療・ヘルスケア、自治体などではメリットが大きいといえる。

「処理速度が速く、機密情報も扱えるようになると、できることが飛躍的に広がります。例えば不動産会社であれば、商談のときにモデルルームや建築パースなどを使うと思いますが、それらを用意するには時間もコストもかかります。しかしAI PCを活用すれば、その場ですぐにぴったりなビジュアルを作って提示できます」(梶間氏)

もちろん、イメージをすぐに視覚化できるメリットを受けられるのは、不動産業界に限らない。画像や映像だけでなく、グラフやチャートなども自然言語(日常的に使う言葉)で指示すれば生成できるため、あらゆるビジネス領域で有効だ。しかも、そのためのスキルを磨く必要もない。

「例えば表計算ソフトの場合、マクロを組める人とそうでない人では、できることに大きな差がありました。スキルを持っていないとできないこともあったのですが、AI PCの場合、自然言語でさまざまなことが実現できるため、『できない』ということが少なくなります。必然的に『AIの民主化』につながり、組織全体の生産性が向上します」(岡氏)

消費電力の最適化やバッテリーの経年劣化を防ぐ機能も

誰でもAIを活用できるAI PCは、ユーザーの能力によって成果に差ができる従来のPCとは異なり、ユーザーの能力を拡張する道具だともいえる。

「従来のPCは『卓上電子計算機』でしたが、AI PCは計算だけではなく、ユーザーのアイデアをくみ取って具現化してくれる存在です。例えばフォルダやファイルを検索するときも、キーワードと一致させる従来のPCと違って、AI PCはファイル内の情報やユーザーの行動から関連性の高いものを提示します」(岡氏)

今後は、個人の業務や役割に最適化された「SLM(小規模言語モデル)」が、PC上でより多く活用されるようになると予想される。そうなれば、AIはユーザーのことをより深く理解し、「伴走者」のようにさらに密な関係へと進化するだろう。

「ローカルでできることの範囲が広がれば広がるほど、デバイス自体の価値は高まっていきます」と梶間氏が語るように、AI PCはユーザーと共に成長していく。業務や取引先との関係性まで理解して答えを導き出すAIを活用すれば、ユーザー自身の思考を深め、仕事の生産性や創造性を大きく高めてくれるはずだ。

そして日本HPのAI PCには、そうしたアシスト機能がいくつも搭載されている。その1つが、40TOPS(※2)以上のAI PCで無償利用できる「HP AI Companion」だ。情報検索やコンテンツ作成を支援したり、ユーザーのファイルを分析してインサイトを提示したりするだけでなく、デバイスをスムーズかつ効率的に使えるよう設定のサポートも行う。

「ユーザーの使用状況を学習して消費電力を最適化するほか、バッテリーの充電レベルや充電速度を自動的に調整して経年劣化を抑えます。また、『音が出なくて困っている』『今はカメラで映さないで』といった内容をチャット形式で伝えるだけでPC本体の細かい設定を変えられるのもHP AI Companionの特徴です」(岡氏)

※2:TOPSとは、NPU(AI処理に特化したプロセッサー)の性能評価に用いられる単位。1秒間に何兆回の演算が実行できるかを示す。40TOPSは、1秒間に40兆回の演算が実行できることを意味する。なお、マイクロソフトが定義する「Copilot+ PC」の規定は40TOPS以上

AIとともに、いつでもどこでも創造的な働き方を

日本HP「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」
日本HP「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」
インテルの「Core Ultra プロセッサー(シリーズ2)」を搭載したCopilot+ PC。48TOPSのAI処理性能を持つ。厚さ10.5mm、重さ約1.19kgの薄型軽量で持ち運びしやすく、HPのAIアシスタント「HP AI Companion」や高度なセキュリティ機能も備え、どこでもAIを活用できるビジネス向けモバイルノートPCだ

さらに、「HPが最も得意なのはセキュリティ」(岡氏)と、同社のPCがセキュリティに強みを持っているのも見逃せない。

「HPは、PCメーカーの中でも自前でセキュリティラボを持っているのが大きな特徴です。日々の研究成果はデバイスにも反映しています。

一例として、HPの法人PCに標準搭載されているハードウェアチップには、サイバー攻撃によってBIOS/ファームウェアを書き換えられたとしてもそれを検知して自動修復したり、安全に起動させたりする仕組みがあります。また、近い将来の脅威と予想される量子コンピューターによる攻撃からファームウェアを保護する機能も備えています」(岡氏)

のぞき見を自動検知して画面を見えにくくする「HP Sure View」もHPならではのセキュリティ機能だ
のぞき見を自動検知して画面を見えにくくする「HP Sure View」もHPならではのセキュリティ機能だ

そうした安全性の高さに加え、5年間データ量無制限・追加料金なしで4G LTE/5G通信を利用できる「HP eSIM Connect」も法人ユーザーにとって魅力だ。

「AI PCはローカルでAIを活用できるのが大きな特徴ですが、すべてのAIがローカル化するわけではありません。最新の情報を活用するため、クラウドAIを使う場面もあるでしょう。今後はローカルとクラウドを使い分ける『ハイブリッドAI』が主流になるといわれていますので、場所を問わず常にネットワークに接続できる環境は重要です」(岡氏)

生成AIの急速な普及が示すように、業務でのAI活用が当たり前になる時代は目の前に迫っている。現時点では想像もつかない新たなAIアプリケーションが登場する可能性も十分にある。

そうなったときにも柔軟に対応できるツールとして、利便性だけでなく安全性にも配慮したHPのAI PCを装備しておけば、持続可能な業務環境に貢献するのではないだろうか。

そして、AIという「伴走者」がいることで、人はより生産的・創造的な、自身のこだわりが生きる仕事に力を注げるようになる。それこそが、日本HPの目指す新時代の働き方の姿だ。

>はたらく人に、こだわる自由を。HPのAI PCについて詳しくはこちら