アートと科学の融合で挑む120年企業の変革 東洋インキから「artience」へ

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artience株式会社 代表取締役社長 グループCEO 髙島 悟氏
髙島 悟氏(Satoru Takashima)
artience株式会社
代表取締役社長 グループCEO
1960年生まれ。84年、東洋インキ製造入社。2003年にToyo Ink (Thailand) Co., Ltd.代表取締役社長、13年に東洋インキSCホールディングス取締役。20年に代表取締役社長 グループCOO、22年より現職。

私たちは、2024年1月に東洋インキSCホールディングスからartience(アーティエンス)に社名を変更しました。この大きな変化の背景には2つの思いがあります。1つは、私たちは時代の変化に敏感に対応できているかという危機感です。

もう1つは、「本当に世の中に求められる製品を生み出したい」という思いです。コロナ禍で急速なデジタル化が進み、私たちの事業ポートフォリオを抜本的に見直す必要性を感じました。そこで、120年以上の歴史を持つ企業が変革をする象徴として、社名から「インキ」を外すという決断をしました。

新たな社名artienceは「art」(アート)と「science」(サイエンス)を組み合わせた造語です。

これまで化学メーカーとして重視してきたサイエンス(機能性や合理性)にアート(感性、情熱、創造性)を融合させることで、世の中に新たな価値の提供が可能になると考えています。AIをはじめとするテクノロジーが急速に進化し、人々のニーズが多様化する現代において「本当に世の中に求められる製品を生み出す」にはサイエンス思考に基づく理性に、人の思いや情熱を組み合わせる感性価値の創造こそが必要だと考えたのです。

アートにはリベラルアーツの要素も含まれており、そこには多様性の尊重や新たな視点といった意味を込めています。

サイエンスは、技術・テクノロジーに加えて、合理的・論理的なアプローチ、社会をより良くする新技術や新素材を追求する意味を含んでいます。さまざまな国に行き、現地の人たちと接し、相互依存の関係を結んでお互いが経済発展を果たすことで、共に幸せになっていく。新しい価値提供とともに平和な社会づくりに貢献することも企業の重要な役割だと捉えています。

そして社名変更と同時に私たちは「感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来に挑む」という新たなBrand Promiseを掲げ、理念体系を刷新しました。企業変革を実行するに伴い、企業文化そのものを根底から変えたいという強い思いがありました。

ただ、私たちが経営哲学と位置づけている「人間尊重の経営」だけは変えませんでした。そして「感性に響く価値」の起点が人間であることを踏まえ、個の力が全体の創造性を生み出すという考え方を明確にしました。

社名変更以来、国内外の拠点で社員と対話する機会を重ねていますが、すでにカルチャーの変化に手応えがあります。

グループのある事業会社では、トップダウンだった意思決定がボトムアップに変わり、尖ったアイデアを形にするようになっています。従来は、レーダーチャートが丸くなるようなバランス重視の製品を多く開発していたのですが、ユニークなヒット製品がいくつか生まれています。

また、セレンディピティ(偶然の出会い)が生まれる環境や仕組みをつくることも経営者としての仕事だと考えています。その一環として、2025年10月には東京本社内にグローバル共創拠点『Incubation CANVAS TOKYO』をオープンしました。素材系を中心に、世界中のスタートアップや投資家をつないで人と情報が集まる場を作り、イノベーティブな製品や事業を生み出していきます。

artienceは、価値創造と社会課題の解決を企業の使命と捉え、業種や業界の垣根を越えた連携を積極的に推進していきます。

artienceについて詳しくは、こちら