りそな銀行の独自機能と専門性で挑戦を後押し 誠実に企業を支え、日本経済を再成長へ導く

リスクを恐れず、日本企業の挑戦に寄り添う
――まず、企業の経営者が直面する課題について、どのように捉えていますか。
岩永 今の日本企業は、規模の大小を問わず、極めて複雑な経営環境に置かれていると感じています。人口減少による人材不足に加え、価値観や働き方の変化、コストや資源価格の上昇、国際競争の激化など、多くの要因が重なっています。課題が1つで完結することは少なく、相互に影響し合っているのが実情です。
とりわけ中堅・中小企業では、後継者問題が深刻です。経営を担う人材の確保が難しく、事業承継の進め方が大きなテーマになっています。若い世代の価値観の変化により、優秀な人材の採用・定着も重要な課題です。
一方で、大企業はグローバル市場での競争を直接的に受け、株主やマーケットからの要請に応える必要があります。経営判断のスピードや説明責任の重要性が増し、サプライチェーンの分断や人手不足など構造的リスクにも直面しています。
――厳しい経営環境に置かれた企業を支えるために、りそな銀行ではどのように対応していますか。
岩永 今や単に資金を供給するだけでは、お客さまの真の課題解決にはつながりません。これからの銀行には、資金面にとどまらず、企業の成長と変革に伴走する姿勢が求められています。
この考えの下、りそな銀行では培ってきた情報網やネットワークを最大限に活用し、経営者の皆さまが直面する多様な課題に対して、多角的な支援を行うことを重視しています。
私が就任時に強く意識していたのは、「金融機関として取るべきリスクをしっかり取る」ということです。私は2020年に社長に就任しました。就任の6日後に緊急事態宣言が出され、パンデミックが深刻だったときです。まず考えたことは、お客さまが事業を継続し、生き残ること。これを第一に行動してきました。お客さまの視点で取り組む姿勢がさらに徹底されたスタートだったのです。私たち自身もお客さまもこれまでにはない環境下で、改めて前提を疑い、ゼロベースで「何のために存在しているのか」を考えることとなりました。リスクを恐れていては、お客さまを支えることはできません。だからこそ、「挑戦」と「リスクテイク」という2つの姿勢を大切にしながら、組織全体で前に進んできたのです。
岩永 省一氏
1989年 明治大学経営学部を卒業し、大和銀行へ入社。2016年りそな銀行執行役員 営業サポート統括部長、18年りそなホールディングス代表執行役グループ戦略部担当。20年よりりそな銀行代表取締役社長
りそな銀行の信託×商業の機能性と、誠実な人財
――現在、りそな銀行はどのような姿勢を大切にしているのでしょうか。
岩永 どんなに多様な機能を持っていても、生かせなければ意味がありません。大切なのは機能を「持つ」ことではなく「使い切る」ことです。財務や人事、年金、資産活用、承継などの機能を掘り下げ、実践力として発揮できなければ、お客さまに真の価値を届けることはできません。そのため、従業員一人ひとりに「自分たちは課題解決の当事者である」という自覚を持ってお客さまに向き合ってもらうことを求めています。
そして信託機能を持つ商業銀行という仕組みを通じて、ワンストップでお客さまに必要なサービスを提供していきます。
お客さまが新しい挑戦に踏み出そうとするとき、あるいは立ち止まりそうなときに、つねにそばにいて力になれる存在でありたいと考えています。挑戦する誰かの背中を押す「誠実な情熱」こそ、りそな銀行の本質です。
私たちがお客さまにとって必要な存在であるためには、人の力が欠かせません。信頼の根底にあるのは人としての誠実さであり、誠実であるからこそお客さまは率直に悩みを打ち明けてくださいます。そうした関係を築ける人材こそ、私たちの最大の財産です。
誠実であるためには、自分の使命を理解し、何のために行動するのかを明確にすることが大切です。本心から「お客さまのために」という思いは必ず伝わり、信頼を生み、新たな挑戦を後押しします。お客さまの挑戦を支え、未来を共に切り開くことこそ、私たちの変わらぬ信念です。
――りそな銀行の独自性について教えてください。
岩永 長期的に企業を支える信託機能と、商業銀行としての実行力を併せ持つ「広域商業信託銀行」であるということが、りそな銀行の最大の特長です。

信託業務では、短期的な利益ではなく、長期でお客さまの資産や事業を守り育てることを重視しています。お客さまと、世代を超えた関係を積み重ねることを目指しているのです。
具体的には、事業承継や不動産活用など、長期的テーマに専門性をもって取り組んでいます。近年は、不動産のSTO(Security Token Offering)にも挑戦しています。ブロックチェーン技術を活用し、不動産をトークン化して小口化することで、個人でも実物資産に投資できる仕組みを実現しました。信託機能を生かし、安心して投資できる新しい仕組みづくりに取り組んでいます。
長期的にお客さまを支える機能の1つに、2021年設立の「りそな企業投資株式会社」があります。りそな企業投資株式会社では、お客さまの株式を一時的に預かり経営に参画することで、企業価値の向上や次世代への承継を支援しています。企業文化や従業員を守りながらさらなる成長へ導くことがミッションです。ハンズオンでお客さまに伴走する機能と信託機能を融合した支援ができることも、当社ならではの取り組みの1つです。
お客さまの成長のために、りそな企業投資株式会社が組織の仕組みづくりを行い、当社が信託サービスとして人事制度に基づく年金制度や、効果的な資本の活用方法として不動産活用を提供し、それらを掛け合わせることで企業価値を上げる取り組みが可能です。
さらに、りそなグループとしてデジタル化やAI活用、企業との連携強化も進めています。例えば、決済ビジネス分野と新規事業開発分野における提携の強化・深化に向けてデジタルガレージ社を持ち分法適用関連会社にしました。これにより、新しい機能をグループ内に取り込み、りそな全体の多機能性をさらに高めることができました。挑戦する企業を支える力を絶えず進化させ、共に成長する循環をつくっていきたいと考えています。

世代を超えて信頼を重ね、日本経済に貢献する
――企業の挑戦を支えるりそな銀行自身も、挑戦を続けているのですね。挑戦する風土は、組織の中でどのように根付いているのでしょうか。
岩永 現場の力を信じて生かすという姿勢にあります。挑戦は制度や仕組みで生まれるものではなく、一人ひとりがどれだけ前向きに行動できるかにかかっています。当社には、その情熱を持って動ける人がいる。そこにりそな銀行の強さを感じます。
お客さまを最も理解しているのは、日々お客さまに接している営業店の現場です。お客さまの声や課題を受け止め、そこから発想して解決策を見いだす。その起点こそ現場にあります。本部が指示を出すだけでは十分ではなく、現場が自ら考え、動くことが重要です。その際に本部は、ノウハウや仕組みを提供して後押しする存在でありたいと考えています。
お客さまとの接点で各課題に対して適切な支援ができるように「営業改革プロジェクト」に取り組み、現場の視点から当社の組織体制も見直してきました。
現場でお客さまに真摯に向き合うためには、人としての力を磨くことが欠かせません。自分が何のために存在し、どんな使命を果たすのかを深く理解していなければ、本当の誠実さは生まれません。
そうして積み重ねた信頼関係こそが、挑戦を支える組織文化の基盤であり、とくに営業の現場では最も大切なポイントだと考えています。
――最後に、日本経済のさらなる成長への貢献に向けた意気込みをお聞かせください。
岩永 お客さまがいかに事業を続け、成長していくかを支えることが金融の役目であり成長の要であり、そしてそれが結果的に日本経済の成長や好循環につながります。だからこそ、企業がどの局面にあるかを見極め、伴走しながら支援していくことが私たちの使命です。
当然、企業としての持続性は大切ですが、それはお客さまの成長があってこそ成り立ちます。法人だけでなく個人のお客さまにも、資産を守り、次世代へつなぐサポートを行い、何世代にもわたって家族に寄り添う存在でありたいと思っています。
また、変革が求められる局面でこそ、当社が挑戦を支える金融機関として力を発揮します。企業が「成長したい」「苦境を乗り越えたい」と思ったとき、真っ先に思い浮かべてもらえる銀行を目指しています。
当社には、全国に広がるネットワークと人財力があります。私たちは接点の多さを強みに、お客さまに寄り添う人財の「数」と「質」を両立させてきました。そして何よりの強みは「人」です。かつて厳しい経営を乗り越えた当社だからこそ、お客さまの苦しさに共感し、真に寄り添うことができます。
困難を共にしてきた従業員たちは、その経験を糧に、挑戦するお客さまを支える力を磨いてきました。そうした「人の力」を原動力に、お客さまと共に日本経済の新たな成長を支えていきたいと考えています。
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