米国シェア2位「ウィブル証券」狙う投資の新基準 待機資金を眠らせず、絶えず働かせる手法
米国の若年層の心をつかみ、満を持して日本に進出
ウィブル証券は2016年、マーケットデータ配信を手がけるテックカンパニーとして米国で創業した。金融サービスに参入したのは18年で、当時の米国では証券取引の手数料を抑えた新興勢力が台頭し始めていた。小島氏は当時をこう振り返る。
「スマホアプリによる株取引とゼロ手数料を先駆けて導入した企業が、ミレニアル世代を中心に個人投資家層の裾野を拡大していました。ウィブル証券はその流れの中で、投資初心者に加えて一定の経験を持つ投資家を対象に、スマホ取引を前提とするアプリを開発しました。
アプリは投資初心者でも使いやすいと同時に、高度な機能を備えており、より複雑な分析を求める層のニーズにも応えられる設計だ。株価チャートやニュース、アナリスト評価などを一画面で確認できる機能が備わり、利用者が情報を効率的に収集できる。さらにコミュニティー機能を実装し、ユーザーが投稿した銘柄の見通しやニュースに対してコメントや「いいね」で反応できるようにした。
低コストとユーザビリティーの高さが相まって、証券会社のアプリとして米国でダウンロード数第2位※を記録した。21年前半には数億ドル規模の資金調達を実施し、拠点拡大とグローバル展開を強化。同年9月に日本市場進出の準備が始まり、21年末には日本の証券会社を買収。23年4月に米国株取引、6月に日本株取引、7月に米国株オプション取引を開始した。
「日本市場は米国、英国と並ぶ世界三大市場の一角です。米国株取引の需要が高まる中、当社のビジネスモデルを日本に持ち込むのは必然でした。米国ではスタンダードになった低コストでスマホ操作に適したサービスを届けることで、日本の投資文化を一歩進めることを目指しました」
待機資金を収益源に。即時取引で機会を逃さない

日本市場への参入を果たしたウィブル証券は、2024年に日本の投資家向けの米ドル資産運用サービス「Moneybull」を開始した。総合口座にある米ドルの余剰資金を自動で外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド )に投資し、利息を得ながらも残高を即座に株式購入に利用できる特徴を持つ。
「外貨建てMMFは、米ドルなどの外国通貨で国債や社債など低リスクの金融商品に投資する投資信託です。外貨預金の代替商品として利用されることが多く、外貨を預けるよりも効率的に利益を得やすいとされています」
ただし、外貨建てMMFは現金に比べて扱いに手間がかかる。株式取引に使うには一度解約して現金化する必要があるため、タイムラグが生じるのだ。「Moneybull」はこの手続きを省き、資金を即時に取引へ回せる仕組みを実現した。
※1 外貨建てMMFを自動で買い付ける。アプリ上のON/OFFの設定により自動でMoneybullを利用するか選択可 ※2 自動で外貨建てMMFを売却し、その資金で米国株/ETFを買い付ける ※3 米国株/ETFの売却により得た米ドルで外貨建てMMFを自動で買い付ける ※4 総合口座へ入金された配当金/分配金で外貨建てMMFを自動で買い付ける ※5 各営業日15時以降の解約の場合、受け渡しは翌営業日
「通常、外貨建てMMFを解約した場合、現金化まで1日程度待たなければなりません。『Moneybull』ならその必要がなく、残高を現金同様に扱うことができます。即座に株式を購入可能で投資機会を逃しません。また、待機資金としてすぐに投資に使わず、外貨建てMMFとして保有している間も、分配金が自動的に再投資され、複利で運用します」
分配金は日次で付与され、自動的に再投資される。ユーザーは複利効果を得ながら効率的に資金を運用でき、しかも解約にかかる手間や時間を気にせず流動性を保てる点が特徴だ。
「外貨建てMMFの利回りは年率でおよそ3.8%※です。分配金は日次で付与されるため、長期的に見れば複利効果を発揮します。米国金利が上昇する局面では、日本円を米ドルに換えて保有する投資家にとって、待機資金が自動的に分配金を生む点が大きな関心を集めています」
※直近利回り(2025年4月末時点)の実績は過去の税引前のものであり、将来の運用成果を保証するものではありません
この仕組みは、既存のシステムでは対応できないため、独自の取引システムをゼロベースで構築した。裏側のシステムは数百人規模のエンジニアが設計しており、特許も出願中だ。
NISA・iDeCoに続く、通貨分散投資の選択肢に
「Moneybull」の利用者は主に2つの層に分けられる。1つは米国株投資を始めたばかりの層である。ドルを保有しながら投資先を決めかねている利用者にとって、余剰資金が自動的に運用されることは資産効率の向上につながる。
もう1つは短期売買を行うアクティブトレーダーだ。日常的に株式を売買するため、資金を即時利用できる状態にしておく必要があるが、待機資金を遊ばせることは避けたい。「Moneybull」は余剰資金を自動的に外貨建てMMFで運用しながら、必要なときには即座に株式購入に充当できるため利便性が高い。
「アクティブトレーダーは、つねに全資産を売買しているわけではありません。だからこそ待機資金をどう扱うかが重要になります。『Moneybull』なら余った資金が遊ばずに働いてくれます。当社の米国株・ETFの取引手数料は最大20ドル(税抜)ですが、『Moneybull』から得られる分配金収入で十分に補えます」
利用者の中には、「複数の証券口座を持っていたが、『Moneybull』の利便性とUIのよさでウィブル証券に集約した」という声もあるという。
近年、米国では政策金利の引下げが予想されている一方で、日本国内では政策金利の引上げが予想されているものの、依然として日米の金利差は大きく 、ドル建て資産を持つことは為替変動のリスクを伴う。それでも小島氏は、通貨分散の必要性について「円安やインフレが進む現状を考えれば、ドル建て資産を持つ意義はますます増しています」と強調する。
「投資の鉄則は『投資先は1つに絞らず、分散させる』です。日本円で日本株だけに投資する、あるいは日本円だけで生活するのは、1つの銘柄にすべてを投じているのと同じことです。だからこそ、ドル建て資産をはじめ他の選択肢にも目を向けて分散することが今後の日本では必要になるはずです」
日本ではNISAやiDeCoの普及により、投資を始める層が拡大している。「Moneybull」はそうした利用者が次の段階として選ぶケースがあるという。
資金を余らせず、通貨分散と資金効率を同時に実現する「Moneybull」。新興勢力の挑戦は、日本市場における次世代のスタンダードを形成しつつあるのかもしれない。
「『専門家ではないから何に投資すればよいかわからない』『投資のタイミングを見計らっている』という方は多いと思います。まずは円をドルに換え、ドルを持つことから始めてみてください。そして、そのドルにしっかり働いてもらいましょう。株式を買わなくても、ドルを持つだけでリスクヘッジになり、待機資金を『Moneybull』で運用すれば分配金やその複利を実感できます。ぜひ一歩を踏み出し、『Moneybull』を通じて資金が働く感覚を体験していただきたいと思います」
⇒Moneybullの詳細はこちら

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