経費精算IT化×法人カードの相乗効果が
新たな成長エンジンとなる
●主催:東洋経済新報社 ●協賛:ラクス、ジェーシービー

基調講演
「財務・経理部門が成功に導く、
経営戦略デザイン入門」

公認会計士・税理士
山田 真哉氏
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』などの著書で知られる山田真哉氏は「経理財務は守りの仕事ですが、時間さえあれば、攻めの経営戦略にも関与できます」と述べ、経営企画など他部門とは異なる視点から経営に貢献できる可能性を示した。
山田氏は「1000円のものを500円で買うのと、101万円のものを100万円で買うのとでは、どちらが得か」(正解は後者)といったクイズを通して、経理財務担当が備える「状況や感覚に左右されずに、金額重視主義、感情より勘定を貫く」キャッシュフロー重視の会計センスを説明した。
さらに、会計センスの経営戦略への応用についても言及。「夜の客単価5万円の高級料亭が1000円のランチを始めた」ことの意義として、宣伝効果や追加コストがあまりかからないこととともに「売掛金ではなく現金収入を安定的に得られることが重要」と強調。「スーツ量販店がオーダーメイドに注力を始める」メリットについては「在庫を減らし、店舗を小さくすることで、売れ残り(原価)と、賃料(固定費)を低減できることが大きい」と述べた。
山田氏は「不定期・高収入と定期・低収入の事業バランスを取ると同時に、原価と固定費を削減する経営戦略を考えることが経理財務にとっての理想です。会計は技術ではなく、哲学・考え方なのです」と語った。
テーマ講演
「企業成長を促進する
経理業務のIT化とは」

クラウド事業本部
営業統括部長
本松慎一郎氏
経費精算システム「楽楽精算」をはじめ、多彩なクラウドサービスを提供するラクスの本松慎一郎氏は、経営者意識調査から「人材や事業基盤強化に関心が高まっています」と指摘。盤石な経営の実現に向けて、経理コストが粗利益4%未満は黒字会社が多いという目安を示した。
経費精算IT化は、低リスクで使えるクラウドの普及、移動などのすき間時間を有効活用できるデバイス、スマートフォンの普及、乗降駅や運賃を記録する交通系ICカードの普及の3要因によって急速に進んだ。導入効果の例として、本松氏は「営業職の申請」「管理職の承認」「経理作業」を合わせた経費精算業務に1457万円をかけていた企業が、1085万円のコスト削減に成功した従業員300人規模の会社の例を紹介。「経費精算費用を1000万円以上減らせば、経理コストを粗利益の4%未満を目安とする盤石経営の構築に大きく近づきます」と訴えた。
同社の経費精算システムは、交通系ICカードの履歴を取り込んでそのまま申請でき、スマートフォン対応で申請・承認作業における移動時間の活用を可能にする。また、自動仕訳や会計ソフトと連携し経理部門の入力やチェックの手間を大幅に削減する。本松氏は「使い慣れた形式に申請画面をカスタマイズすることで円滑な導入が可能で、900社超に採用されています」と実績をアピールした。