「24時間テレビの使い込みやドラマ原作者の自殺では会見しなかったのに…」 日テレ・国分太一会見の《正しさ全開》が招きかねないビミョーな末路

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ジャパネットHDの企業サイトにはコメントが掲載されており、「詳細な事実がわからない状態ではあるものの、コンプライアンス上の問題行為ということ、活動休止となることを受けこのような判断といたしました」とある。かすかな恨み節がにじむ。それに続く「既に展開している広告についても、順次差し止めの対応をしてまいります」の部分が「17:53追記」となっていることにも、苦労が感じられてしまう。

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国分氏の一件を受けたジャパネットHDのリリース

「正しい」対処がもたらす危険な余波

日テレの対処について、業界関係者は「日テレの読売グループらしさが出た」と苦笑する。一時期はプロパーで制作畑出身の小杉善信氏が社長になり、日テレ色が強い自由な雰囲気になっていたが、その後は読売新聞出身が経営陣の多数を占め、読売グループっぽさがここ数年で高まっていた。

福田社長自身はプロパーなのだが、その上には読売新聞から来た山口寿一氏が親会社・日本テレビHDの取締役会議長としてがっちり手綱を握っている。今回の国分氏をめぐる対応が、危機管理がガチガチの読売らしい対処になった背景には、そうした事情もありそうだ。

日本テレビHDの株主総会が来週27日に迫っているので、その場を荒らさないためにも「正しい」対処が絶対必要だったのだろう。だが、正しすぎて、逆に余波が心配になる。

SNS上ではすでに、「日テレは24時間テレビの寄付金使い込みの謝罪という重大な案件はアナウンサーにさせるくせに、今回の国分太一の件には(中略)なぜか社長が出て来てその結果重要なことは何も説明できないってなんだそれ」「セクシー田中さんの原作者の自殺について公の場での記者会見を開かなかった日本テレビなのに、国分太一のコンプラ違反で公の記者会見をやるとかおかしな話」という疑問が噴出している。

さらに、日テレが会見で事案の詳細について説明しなかったことから、事案の中身を臆測する動画、考察する投稿がどんどん出回ることも懸念される。そうなると、肝心の株主総会が大荒れになる可能性もある。

完璧だった日テレの社長会見が、逆に騒動を生まないか、心配だ。

境 治 メディアコンサルタント

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さかい おさむ / Osamu Sakai

1962年福岡市生まれ。東京大学文学部卒。I&S、フリーランス、ロボット、ビデオプロモーションなどを経て、2013年から再びフリーランス。エム・データ顧問研究員。有料マガジン「MediaBorder」発行人。著書に『拡張するテレビ』(宣伝会議)、『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』(大和書房)など。

X(旧Twitter):@sakaiosamu

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