本当に悪いのは"彼女"なのか? 「汚物まみれの4人衆」なる言葉が飛び出すほどモメにモメた《山尾騒動》がはらむ大問題

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相手の元妻は自死する前にインタビューに応じ、山尾氏への恨みを打ち明けていた。内容はすさまじいもので、それを乗り越えなければ“次”がないのは明らかだった。だが、山尾氏は新たな説明を頑なに拒否し、「8年前に会見で話したことがすべて」とのフレーズを最後まで押し通した。

これについて、12日に出された“反論文”にも「時を経てさまざまな関係者や家族や守るべき人がおり、自身の新たな言葉が誰かを傷つける可能性がある以上口にしないと決めていた」と述べられており、「全ての人の納得を得ることができないということも予測はしていた」と記されている。

それでも会見での山尾氏は、そのキャパシティーを超えて対応しているのが明らかだった。厳しい質問にひたすら耐えることが国民の理解を得ることにつながると信じているようにさえ思えた。政界復帰の最後のチャンスを、必死につかもうとしている姿がそこにあった。

2時間余りの会見の後、数人の記者に取り囲まれた山尾氏が笑顔を見せていたのは、やり切った感の表れだったのかもしれない。しかし「あちら側」と「こちら側」の温度差は歴然で、なんとも後味の悪さが残る会見となった。

そして、11日17時から開かれた国民民主党の両院議員総会で、山尾氏の公認は見送られた。

榛葉賀津也幹事長はその理由について、「全国の国民民主党を支えている都道府県連、そして全国の地方自治体議員から、今回の山尾さんの公認は見送ってほしいとの声があった」と説明。「一部で山尾さんにも弁明のチャンスを与えるべきだとの声もあり、昨日会見を開いてもらったが、『疑問を払拭する会見ではなかった』との意見が多かった。両院議員総会でも、党が一丸となって参院選を戦うためには山尾さんの公認を見送るべきだとの意見が出て、正式に決定した」と経緯を述べた。

真に問題があるのは「エゴを優先させた政党」

5月14日に始まった「山尾騒動」は、永田町の名物カメラマンによる「汚物まみれの4人衆」という言葉を生み出した。山尾氏を切り捨てることで、国民民主党は「汚物」を払拭したといえるのか。本当に問題があるのは、国民の気持ちをくみ取るという体裁を装いながら、実際にはエゴを優先させた政党ではなかったか。

玉木氏は6月10日の会見で「チャレンジをまったく許さない社会、チャレンジをまったく許容しない政治は、はたして政治としていいのかということもまた考えていかないといけない」と述べた。しかし山尾氏の“反論文”では、山尾氏は10日の会見に代表・幹事長の同席を希望したが、「辞任会見なら同席する」との回答を得たとある。

信頼は醸成するのは難しいが、一瞬にして失墜するものだ。山尾氏を切るだけでは「山尾騒動」は収まる様子が見られない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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