任天堂、人気シリーズ『スプラトゥーン』新作を自社アプリ内でサプライズ発表。メディアよりYouTubeより優先する理由

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この行為にはいくつかの理由が考えられる。現在はNintendo SwitchからNintendo Switch 2へ切り替えが行われつつある状況だ。任天堂からすれば、まだ買っていない人が興味を失うのは避けたく、常に最新のゲーム情報に触れていてほしいのだろう。

スマホアプリであれば、多くの人が触れることができ、プッシュ通知も可能である。ましてやここで初出しの大きな情報があるとなれば、多くの人が通知を受け入れて情報を確認するようになるだろう。

また、過去に任天堂はメディアに誤った情報を伝えられたことからNintendo Directをはじめており、ユーザーに直接情報を届けることを重視している。自社アプリからニュースを配信するのは理にかなっているといえよう。

情報のコントロールがリーク対策にもなる

『Nintendo Today!』内で『スプラトゥーン レイダース』の情報が公開されたのが21時30分ごろで、YouTubeに動画が出たのは22時ごろ。わずかな差ではあるが、インターネット時代において30分はなかなか大きい(画像:YouTubeよりキャプチャー)

しかしそうだとしても、世界中の人が注目してSNSのトレンドにも乗るNintendo Directで発表したほうが反響は大きいはずだ。ゲーム好きでもこういったアプリを入れているとは限らず、実際に筆者の『スプラトゥーン』好きの友人も発表されてから遅れて気づくこととなった。

これに関しては、YouTubeの情報漏洩問題を意識した可能性が考えられる。過去にはGoogle従業員がYouTubeの管理権限を悪用し、任天堂の未発表のゲーム映像を閲覧していたという報道があった。この件は任天堂もリスクと捉えているだろうし、リークは新情報の驚きと盛り上がりを減らしてしまう厄介な代物だ。

任天堂自身がうまく情報をコントロールするのであれば、自分でやるのは理にかなっている。『Nintendo Today!』を利用するにはニンテンドーアカウントも必要なので、より濃いファンに直接、広報が可能になるだろう。

任天堂ほどの影響力がある企業ともなると、情報を公開するだけで大きなうねりが発生する。そして、その情報公開の方法を少し変えるだけでも驚きを呼ぶのだろう。

なお、任天堂がNintendo Directをはじめて以降、ほかのゲーム会社も自分たちの番組で情報を公開するようになっていった。今回の件も、ゲーム業界の広報のあり方に影響を与えるかもしれない。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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