失業状態からネットフリックスと協業するまでに成長した台湾の制作会社、躍進する映画とドラマのエコシステムをプロデューサーに聞く
ネットフリックスの影響で、日本も制作スタイルをグローバル基準にシフトしており、台湾と日本のスタッフ同士での理解も進みやすくなっています。配信市場が落ち着きを見せ、買い付けや制作費が縮小している今だからこそ、協力し合って、互いの強みを生かす共同制作は重要になってくると思います。この流れが1本、2本、3本と続けば、新しい「風景」を築けそうです。
――現在、進んでいる日台プロジェクトはありますか?
現在もホラー映画を軸にしつつ、刑事物や社会派ドラマを含めて日本との共同制作の可能性を探っています。作品というのは向こうから「選ばれる」こともあり、それが自分たちの必要な能力や資金、市場がうまく噛み合ったとき、プロジェクトは驚くほどスムーズに動き始めます。
すべての出会いや縁がつながっている
だからこそ、時間をかけて「人材」と「エコシステム」を整えておくことが大切です。そうすれば、資源やチャンスは自然と集まります。
今振り返れば、『阿嬤的夢中情人』で北村監督と出会えたことも含めて、すべての出会いや縁が現在につながっているのだと実感しています。会社設立から16年が経ち、ようやく「本当にやりたいこと」が実現できるフェーズに入りました。
――萩原健太郎監督ともプロジェクトが進んでいます。
新宿・歌舞伎町を舞台にした作品で、タイトルは「琥珀KOHAKU:黒夜的叛徒」(仮題)というドラマシリーズです。台日間の歴史的背景と、歌舞伎町の「外から来た人々に居場所を与える」という包容力にインスパイアされて生まれた企画で、当時、どんな人たちがどういう思いで歌舞伎町を作ったかという「人々の奮闘」を描いています。
当時、「第三国人」と呼ばれていた日本人ではない人たちが、周囲の人々と共に厳しい状況の中で光を見つけていく。私たちはそれを「互いの光を見つける」と呼んでいます。苦しいときでも、人を照らす、善良である、勇気を持って突破する、そんな姿を描きたいと思っています。
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