失業状態からネットフリックスと協業するまでに成長した台湾の制作会社、躍進する映画とドラマのエコシステムをプロデューサーに聞く

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――台湾社会に根づく「共同記憶」が真ん中に押し出されていたのが新鮮でした。

ホラーは、社会に潜む集団的な恐怖を映し出します。台湾では1980年代から2000年代にかけて、戒厳令の解除と経済の急成長が進み、人々は豊かになる一方で、「何かを失うのではないか」という漠然とした不安を抱えるようになり、「失うことへの恐れ」が社会全体を覆っていきます。

社会の共通体験を題材にして成功

映画『紅い服の少女』も、そうした社会的恐怖を反映しています。着想のきっかけは、当時話題になっていたホームビデオでした。ある家族が山へ登った際、失踪者が謎の存在にtag(=目をつけられる)され、そのまま霊に連れて行かれてしまった。深夜番組でそのビデオが紹介され、「赤い服の少女」は瞬く間に知られる存在となりました。

企画を思いついて、まずはスタッフにリサーチしてみると、世代を超えて共有される記憶、映画として成立するに足る強力な共通体験だとわかりました。結果的に「こんなホラー映画、久しぶり!」「とても新鮮だった!」という声が多く寄せられ、大きな反響を得ることができました。

6月6日に上映の新作ホラー映画『山忌 黃衣小飛俠』も台湾の民間伝承が元となっています。日本の方にも見ていただく機会があれば嬉しいです。

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