UR都市機構の挑戦を「一歩先」で支える伴走支援 公共セクター特有の課題に「人の力」で寄り添う

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原田氏と堂野氏
社会課題の解決に取り組む公共セクター。多くの複雑な課題と向き合いながら、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続ける公共セクターにとって「伴走者」の価値とは何か。まちづくりを軸に多くの事業を手がける都市再生機構(以下、UR都市機構)は、大規模な基幹システムの刷新などさまざまなプロジェクトにおいて、KPMGコンサルティングとの関係を築いてきた。両社のキーパーソンへのインタビューを通じて、その全貌に迫る。

40年ぶりの「大規模なシステム刷新プロジェクト」がスタート

UR都市機構とKPMGコンサルティングの出合いは2017年。同機構にとって40年ぶりとなる基幹システムの刷新タイミングだった。

UR都市機構は、1950年代の高度成長期から約70年にわたって全国のまちづくり・くらしづくりに取り組んできた。これを支えたのが、事務の省力化・適正化などを目的として整備された基幹システム(メインフレーム※)だ。
※組織内で業務処理を行う基幹情報システムなどに使用される大型コンピューター

「時代の変化によって、インターネットとの連携や図面のデータ管理といったニーズが内部から次々に出てきました。それらに対応するため、システムの拡張や改修を重ねながら、メインフレームの保守と運用を続けてきました」

UR都市機構・原田氏
都市再生機構
総務部 担当部長
原田 岳志

そう話すのは、同機構の総務部担当部長 原田岳志氏だ。プロジェクトが開始した2017年当時抱えていた課題について、原田氏は「長年の運用や度重なる改修で、システム内の構造や連携処理が極度に複雑化していたため、新たな経営戦略や各種法制度の改正への迅速な対応が困難になっていたという課題がありました」と振り返る。さらに追い打ちをかけたのが、利用していたメインフレームが製造中止になるという一報だった。

「基幹システムを刷新することは不可避でしたが、これだけ大規模なプロジェクトを経験したことがある職員はいませんでした。しかも、それまでに抱えていた課題も同時に解決していかなければならないという状況の中、信頼できるパートナーの伴走が必要不可欠でした」(原田氏)

そのパートナーとして選ばれたのはKPMGコンサルティングだった。大手システムインテグレーターで多数のシステム構築を支援してきた経験を持つ執行役員 パートナーの堂野心悟氏は、すぐに支援体制の整備に動いた。

「公共セクターは、社会課題の解決にフォーカスした組織です。社会の繁栄と人々の幸せの実現に貢献することを目指す私たちにとって、公共セクターの課題と真正面から向き合い、その解決に向けて貢献できることは、とても意義のあることだと考えています」(堂野氏)

長期の伴走を成功に導くカギは「人の力」にあり

堂野氏は、プロジェクト成功のカギを握る高い専門性を持つメンバーを集めるため、「全社を挙げて取り組むべきプロジェクトだ」と当時のCEOに直談判し、体制を整えることに成功した。

「堂野さんも含めて、今回のプロジェクトを推し進めるための知見とスキルを有するコアメンバーを短期間でそろえてくれたという印象が強く残っています」(原田氏)

約6年に及んだプロジェクトの最終フェーズでは、(最大)25社の関係者と協議を重ねながら策定した830もの作業項目を、抜け漏れなく、遅滞なく推進していく必要があった。KPMGコンサルティングは、同機構本社の近隣に設置したプロジェクトルームに常駐しながら、120人を超えるチームのまとめ役として、プロジェクト憲章の作成、ルール整備などを積極的に推進した。長期プロジェクトを完走させるには、関係者全員がつねに「ワンチーム」であることが重要だった。

KPMG・堂野氏
KPMGコンサルティング
執行役員 パートナー
堂野 心悟

「大規模なシステム刷新プロジェクトにトラブルはつきものです。どれだけささいな予兆であっても見過ごさず、適切な一手を検討し、着実にリカバリーしていくためには、担当領域や所属する組織に関係なく、一人ひとりが共通の目的意識や課題認識を持っていなければなりません。イレギュラーな状況に柔軟に対応できるよう日頃から準備を怠らないことが、真摯にクライアントや課題と向き合っているということだと思っています」(堂野氏)

基幹システム刷新の支援にとどまらず、まちづくりや脱炭素、カスタマーエンゲージメントなど、多岐にわたる同機構の事業テーマと長期的に向き合っていくために、KPMGコンサルティングがこだわるのは「人」だ。国内外に広がるKPMGのネットワークを駆使し、社内外から専門知識や経験を有するメンバーを集めることで、クライアントからの期待に応えられる、最適なチーム組成を目指している。

「プロジェクトの成功は、仕事を依頼したパートナー企業のネームバリューに頼るものではなく、共に汗をかいてくれるプロジェクトメンバー、つまり『人』によってもたらされるものであると確信しています。予期しないトラブルや困難な課題に直面したときでも、共に協力して何度も乗り越えてきたからこそ、約10年にわたってお付き合いができているのだと思います。私にとっては、『盟友』のような存在です」(原田氏)

公共セクターを支える「縁の下の力持ち」として

原田氏がKPMGコンサルティングを「盟友」と評価するのは、つねに一歩先を見据えた提案を行い、同機構の価値向上に向けて長期的な視点で伴走しようとする同社の姿勢によるところが大きい。背景には、公共セクターならではの難しさも潜んでいる。

対談風景

「デジタル庁などから通達される国の方針をいち早く理解したうえで、クライアントの事業特性や目指す方向性を踏まえた提案を心がけています。また、公共セクターにおける調達はどうしても時間を要するものです。環境変化のスピードに追従していくためには、一歩先を見据えた提案が必要になるのだと思います。

人事異動が多く、数年ごとに新しい担当者が着任されることも多いため、新しく着任された方を支え、プロジェクトに切れ目を作らないように、また、希薄になりがちな部門間の横連携を支えられるように、『縁の下の力持ち』になることをつねに意識しています」(堂野氏)

そうした「縁の下の力持ち」としての評価もあり、基幹システムの刷新だけにとどまらず、セキュリティ運用や人事システムの効率化・高度化、DX・BPR推進、生成AI活用に関する支援など、多岐にわたる領域で同機構との取り組みを重ねている。

対談風景2

「目先のプロジェクトの完遂だけではなく、その先にある次期・次々期のビジョンを共に考え、実現可能な姿を描き、将来に向けた取り組みにも着手することができるのは、KPMGコンサルティングという『縁の下の力持ち』がいてくれるからだと思います」(原田氏)

信頼できるパートナーの伴走支援が形作った、約40年ぶりの大規模なシステム刷新プロジェクト。少子高齢化や人口減少、気候変動、激甚化する自然災害など多種多様な社会課題に向き合う公共セクターにとって、コンサルティングファームは「頼れる伴走者」になれるのか。そのモデルケースになりうるUR都市機構の取り組みに、これからも注目していきたい。

KPMGコンサルティングのホームページはこちらから