「この人、本当にあなたの恋人ですか?」 カモを狙う《ロマンス詐欺》の最新手法→見知らぬ美男美女からいきなり好意を寄せられることはない

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日本は世界的に見ても戸籍管理が非常に厳格な国や。戸籍は身分や家族関係を証明するものであり、国民の権利と義務を管理する基盤となっている。その戸籍に嘘の申告をすれば、「公正証書原本不実記載罪」(刑法157条1項)に該当することになる。

近年では、偽装結婚に絡めて不法入国者が日本に入り込むケースも増えている。

不法に日本へ入国し、偽装結婚を通じて違法に在留資格を得ようとする動きが問題視されているわけや。そもそも不法入国自体が「入管法違反」であり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(出入国管理及び難民認定法第70条)に処せられる。

さらに、偽装結婚を重ねれば、罪が複数にわたるため刑事責任はより重くなる。

ワシが現役時代に遭遇した虚偽申告の案件はさまざまや。偽装結婚は扱ったことはないが、特に印象的だったのが、ギャンブル狂いの男性がボーナスを使い果たした挙げ句、「強盗に襲われた」と嘘の通報をした事件。

しかもその男、リアリティを高めるために自らナイフで腹を刺していた。驚くべきことに、こういった自作自演の事件をワシは3回も経験している。

けどな、長年刑事をしていれば、自作自演など簡単に見破れる。

自分を刺す場合、どうしても刃の入り方が横向きになり、傷が浅くなってしまう。他人からの攻撃は深くて縦に入りやすいもんや。尋問するとすぐに「すみません」と白状するから、捜査としてはたいして難しくない。「そこまでするか?」と呆れはするけどな。

戸籍や事件について嘘の申告をする行為も、このように簡単にバレてしまうものや。

さらに、偽装結婚の場合には、虚偽申告罪に加えて、金銭を得る目的があれば「詐欺罪」(刑法第246条)に問われる可能性もある。詐欺罪は最高10年以下の懲役に処せられる重罪や。

初犯の場合、多くは執行猶予がつくものの、判決が確定すれば強制送還は避けられない。一度でも強制送還処分を受けると、最低でも5年間は日本への再入国が禁止される。悪質な場合には、永久に日本の土を踏めないこともある。

「人助け」「ちょっとした小遣い稼ぎ」と軽い気持ちで偽装結婚に手を染めるのはあまりに危険や。虚偽の戸籍申告や詐欺行為は、個人だけでなく、社会の根幹を揺るがす深刻な犯罪になりうるからな。

SNS時代の詐欺は巧妙化 甘い話には乗ったらあかん

(画像:『元刑事が国民全員に伝えたい シン・防犯対策図鑑』より)

特殊詐欺は今、SNSを使ってどんどん巧妙になっている。「自分だけは大丈夫」なんて思っていたら、あっという間にやられる時代になった。

昔の詐欺は、顔を突き合わせて、人の目を見ながら騙すもんやった。だけど今は、スマホひとつで顔も名前も知らない相手を簡単に引っかけられる。しかも詐欺を立件するには、「騙すつもりやった」という〝故意〟を証明しなきゃならない。これがまた、簡単なことじゃないんや。警察もなかなか動きにくい。だから、泣き寝入りする被害者が後を絶たへん。

実際、日本国内で特殊詐欺による被害額は年間700億円を超えている。単純に計算しても、1日で2億円近くが奪われていることになる。とんでもない話や。

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