アップルが過去5年で90億ドルの不正アプリや取引を却下。手作業審査で築いた安全な流通環境とは
Apple Payが築く決済防壁
さて、冒頭で触れた差し止め金額90億ドルのうち20億ドル分を占める不正取引の阻止についても触れておきたい。アップルは昨年だけで470万枚近い盗難クレジットカードの不正利用を特定し、それを利用しようとした160万以上のアカウントを停止した。
Apple Payの仕組み自体がクレジットカード情報の流出を防ぐデザインになっている点も重要だ。決済時にはデバイス固有の番号と専用取引コードを用いており、クレジットカード番号の通信を一切行わない。そのため通信を傍受されても、そもそも情報のやり取りが存在しないのだ。

アップルは開発者に、こうした世界水準の決済テクノロジーをApple PayやStoreKitとして提供しており、すでに42万本以上のアプリが活用している。昨今のIT詐欺や情報傍受などの不正行為は莫大な利益のために高度化しており、セキュリティーやプライバシー保護に確固たる哲学を持つアップルなどの大手企業でなければ、ユーザーを守ることが困難になっている。
アップルは開発者に、こうした安心安全に使うことができる世界水準の決済テクノロジーをApple Pay、StoreKitといった形で提供しており、すでに42万本以上のアプリなどが活用している。
スマートフォン新法によるサイドローディング(他社製アプリストア搭載の強要)については、法案通過後も各界の専門家からセキュリティ問題を指摘する声が多く出ている。
そんな中、平将明デジタル行財政改革担当大臣はiPhoneへのマイナンバーカード機能搭載を発表した6月6日の朝の会見で、記者からマイナンバーカードを搭載したiPhoneにスマホ新法を適用しサイドローディング(他社のアプリストア搭載)を強要することで、セキュリティ上のリスクはないのか?と質問をされたところ。
「iPhoneには結局、サイドローディングすることになるんでしたっけ?自分の所管ではないので…」と断った上で、自身はサイバー安全保障担当大臣も兼ねていることから「サイドローディングには懸念を示していた」と発言した。
昨今、ITを通して行われる詐欺や情報傍受などの不正行為は、それによって得られる莫大な利益のためにかなり高度化しており、もはや、そうした高度化した不正行為からユーザーを守れるのはセキュリティーやプライバシー保護に対してしっかりとした哲学を持ち、そのための技術研究も続けているアップルなどの大手でないとなかなか難しくなっているように感じる。
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