【野田佳彦・単独インタビュー(後編)】石破首相へのリスペクトと失望 国難突破へ「共闘」か「覚悟」か?
塩田:通常国会の会期末は6月22日です。野党第1党として会期内に内閣不信任決議案を提出する考えはありますか。
野田:それは常に考えています。解散・総選挙を恐れているわけではありません。もともと衆議院は常在戦場だと思って、準備しています。ただ、今回、出せば、場合によっては、衆議院の解散。内閣総辞職よりも解散の可能性があります。衆議院が少数与党でなければ、野党が不信任案を出しても、竹光を振り回しているようなもので、ポーズだけと言われましたが、今度は首相の解散権行使の本当の「伝家の宝刀」になります。
それを覚悟しなければいけない。もちろん覚悟もありますが、解散の大義があり、例えば政治改革が進まなかったとか、大事な年金の話で逃げるとか、政権担当能力がないと断ぜざるをえないときは、野党も不信任案という「伝家の宝刀」を抜かなければいけないと思います。
一方で、解散となれば、40日以内に総選挙をやらなければなりません。40日というのは7月下旬まで入る。トランプ関税による国難の突破のために大事な日米交渉をやっているときに、事実上、政治空白を作ることになる。赤沢亮正・経済再生相も岩屋毅外相も加藤勝信財務相も、訪米どころではなくなる。「日本は死に体内閣」と思われたら、交渉もできない。完全に政府の足を引っ張ることになる。それはやってはいけないと思います。微妙な時期です。だから、不信任案の提出については、今から決め打ちはしていません。
野党がまとまれば選択的夫婦別姓制度は通る
塩田:通常国会では、選択的夫婦別姓制度の導入問題も大きな論点になっています。
野田:特に経済界、法曹界など、あらゆるところから、もう決断すべきだという声が強まっています。その期待に応えるためにも何とか実現したいと思い、4月30日に法案を衆議院に提出しました。国会終盤の重要テーマになってきました。1996年の法制審議会の答申をベースにした法案をまとめました。29年前の考え方ですが、ずっと議論が進んでいなかったので、法案を出さなければ、議論にならない。
野党がまとまれば、通ります。与党も公明党は賛成なので、公明党が自民党を説得するという形の連携が考えられます。問題は自民党がそこまで行くかどうかです。自民党も議員の一人一人の判断だと、導入に賛成のほうが多いと思います。自民党が党議拘束を外すといった判断をするかどうか、そこまでの環境整備ができるかどうかです。
せっかくここまで盛り上がっていますので、今国会でやり遂げたいとは思います。民意の期待が大きいかどうかは、物価高とか、ほかのテーマと比べると、どうかですね。選択的夫婦別姓の導入を願う人たちの切実な声は強烈にあります。選択的ですから、同姓でもいいし、別姓を選択してもいい。あるいは通称の使用拡大でもいいんです。それを選択できるという世の中を造ろうということです。困っている人、不都合を感じている人がいるなら、そういう合理的な判断をすべきではないかと思います。
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