【野田佳彦・単独インタビュー(後編)】石破首相へのリスペクトと失望 国難突破へ「共闘」か「覚悟」か?

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塩田:立憲民主党が重要案件と位置づけて取り組んできた年金制度改革法案を、石破内閣は5月16日にやっと閣議決定して、国会に提出しました。

野田:年金法案は最も重要な議案です。5年に1回、年金財政の検証をやって、それを踏まえて制度改革するのが通例で、それは初めからわかっていることです。一度は3月の中旬に政府が国会に法案を出すことになっていたのに、3月に出さなかった。延期してくれと言うから待っていたが、4月になっても出してこなかった。

基礎年金の底上げ、在職老齢年金の問題など、重要テーマがいっぱいある。特に基礎年金の底上げは、「就職氷河期」世代も含めた現役世代や若者の問題に関わることで、絶対にやらなければいけない。与党も野党も一所懸命に国民に説得していく作業が必要です。

年金制度については政争の具にしない

塩田:年金制度改革法案は、年金に関する 「年収106万円の壁」と呼ばれている賃金要件の撤廃などが柱となっていますが、基礎年金(国民年金)の底上げは法案に盛り込まれませんでした。年金制度は国民年金と厚生年金の2階立てですが、国民年金だけの人が多い「就職氷河期」世代の将来の年金給付を確保するために、基礎年金の積立金を底上げする措置が検討されてきました。

厚生年金の積立金の活用と、年間1~2兆円程度の国庫負担と合わせて、2057年度に約3割の低下が見込まれる基礎年金の財源をまかなうという案ですが、厚生年金の給付水準が一時的に下がることに対する反発を重視する声が自民党内から噴出し、夏の参院選への影響を考えて、基礎年金の底上げ案を盛り込まない法案となった、といわれています。

野田:法案を提出した以上、政争の具にしようとは思わない。こういう重要テーマについては、一致点を見出していく考えで、国会で年金を人質に、とは思っていません。ですが、基礎年金の底上げ分も外して出してきたのは、あまりにも逃げすぎている。

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