「インフルエンサーを疑似体験?」Z世代が“巨大ショッパー”を提げて街を闊歩する理由

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現役女子大生たちがレポートしてくれた、「巨大ショッパー現象」はいかがでしたでしょうか?

タレントさんやインフルエンサーさんの擬似体験をしたい若者が増えているであろうことは理解できても、「巨大ショッパーを街中で持ち歩くのは邪魔ではないか?」と思われる方もいるかもしれません。

なぜ若者はSNSへの投稿に飽き足らず、街中でリアルに周囲の視線を集めようとするのか? これにはZ世代におけるSNSの利用法の変化に関係がありそうです。

最近は炎上やプライバシー意識の高まりもあり、15年ほど前の普及当時と比べ、SNSはオープンなものではなくなってきています。

私の調査でも、平均するとZ世代は1人あたりXやインスタのアカウント数も、2個近く保有しています。不特定多数に見られても問題ない本垢(表のアカウント。何も投稿しないか、無難なものしか載せていない人が多い)と、親しい人にだけ見せる裏垢(裏のアカウントの意味で、親しい人にしか見られないので自由に投稿することができる)を保有しているのです。

そして、Z世代の間で利用者が急増しているBe Real.というSNSも、自分が承認した相手としか繋がらないので、Xやインスタの裏垢同様、親しい人にしか投稿が見られないような仕組みになっています。

これらSNSの人間関係を制限する機能の発達・普及により、炎上や見られたくない人にも投稿が見られてしまうといったリスクが減ってきています。

リアルな場の重要性が高まっている

しかし、それは、インフルエンサーの擬似体験をしたい時など、公に見せびらかすことのできる場も減っていることを意味するわけです。

多くの人に見てもらいたいシーンなどでは逆に「リアルな場」の重要性が高まっており、そうした時に巨大ショッパーは大きな役割を果たすようになっています。そのため、Z世代は、持ち運ぶ時に多少邪魔な巨大サイズであっても喜んで、繁華街で巨大ショッパーを持ち歩きたくなってきているのです。

今後も巨大ショッパーのみならず、それ以外の大きなサイズのアイテム、あるいは、リアルな街中でZ世代が目立つことのできる広告ツールが、さまざまな企業に求められるようになっていくことでしょう。

原田 曜平 芝浦工業大学デザイン工学部UXコース教授

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。

原田曜平研究室 デザイン工学部UXコース インサイトデザイン研究室(https://yoheiharada-lab.com)

 

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