2012年日本の事業会社の信用力見通しは、引き続き弱含み<下>《ムーディーズの業界分析》

コーポレート・ファイナンス・グループ
格付責任者 リチャード・ ビッテンベンダー
主任格付アナリスト 廣瀬 和貞
主要格付け対象セクターの見通し
下のヒートマップは、日本の主要な産業別に、主なクレジット上のリスクに対する耐性の強さを要約したものである。赤が最も耐性が弱く、緑が最も強く、黄色は中間であり、オレンジ色は耐性が弱いと中程度の中間を示している。
図表 ヒートマップ − 主なクレジット上のリスクとそれに対する主要産業の耐性の強弱
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自動車・家電・海運といった業界は、世界/日本経済の停滞に加えて、厳しい競争や過剰供給に直面しており、高まりつつあるリスクに対して脆弱である。
一方、総合電機・化学といった、より長いサイクルの業界は、このマップに示したリスクに対しては耐性が強い。もっとも、財務リスク指標を大幅に改善していくには、困難が伴うであろう。
赤で示された枠の個数に比例して、全体としてのリスクに対する脆弱性が高いということではない。たとえば、電力業界は赤枠が1つ(「規制環境」)しかないが、この1つの理由によって多くの電力会社は格付けが格下げ方向での見直しにかかっており、最も重要な格付け要因である。