アメリカへの留学生数「韓国は日本の約4倍」という衝撃!減少の一途の日本人の海外留学生数、根底に「日本の企業は”留学経験”を評価しない」

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気になるのは、日本と韓国の比較だ。2022年の数字を見ると、日本が1万3447人に対して、韓国は4万9755人と、3.7倍だ。人口一人当たりで見れば、差はもっと大きくなる。

韓国の国内には質の高い大学がないから留学するのか? まったく逆だ。
世界の大学ランキングがいくつか作られているが、上位100位までに入る大学数は、日本より韓国のほうが多い。

日本人の学生の多くは、大学を卒業してからは勉強しようとしないから、こうしたことになる。

韓国の目覚ましい経済発展の背後に、人的能力の向上があることは間違いない。それが、このような差に表れている。

企業が専門知識を評価するかどうかが基本的問題

留学すれば、国際感覚が身につくと言われる。しかし、結果としてそうなるのであって、国際感覚を身につけるのが留学の目的ではない。国際感覚は留学以外の方法によって、いくらでも身につけることができる。

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だから、海外生活の体験をしたいとか、外国語の勉強のために留学するのは、時間の無駄だ。

多額の費用と時間を使って留学するのだから、本格的に勉強すべきだ。言うまでもないことだが、留学の目的は、専門分野の知識を学ぶことだ。できれば、大学院に留学する。そして、学位の取得を目指すべきだ。修士号は1年間で取れる。だから、日本で取得するより、時間を節約できる。

しかし、これに関して最も大きな問題は、本格的に勉強して学位をとっても、日本の企業は、それを評価してくれないことだ。給与面で同年齢の人たちと差がつくわけでもない。だから、体験留学が多くなって、本格的な留学にならない。

円安になったいまこそ、留学に関するこうした本質的問題を考え直すべきだ。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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