私は本を書くことで、現実世界からちょっと逃避して気持ちを楽にしたいときに、いつでも迎えてくれる世界を読者に提供したいと思っています。本が子どもたちにとって、大人にとってのいつも立ち寄る行きつけのバーとか居酒屋みたいな存在であってほしいんです。
いろんなことに葛藤しているのは、大人も子どもも一緒ですよね。「ルルとララ」に限らず、私は児童書を大人向けに置き換えることはいつでもできると思っています。
大人になっても児童書を拠り所に
児童書は、一定期間は読者でいてくれますが、すぐに成長して巣立っていってしまいます。だからいつも迎えては見送る気持ちです。
私たち作家は変わらないけれど、新しい読者がどんどん入れ替わり立ち替わりになる中で、「ルルとララ」もこれだけシリーズを持続できたっていうこと自体、すごく恵まれていると思っています。
長いシリーズの中、たまに自分でも読み返してみると、書いたことをすっかり忘れてるので、いいことが書いてある……なんて思ったりします(笑)。
大人になって、その頃の自分をだんだん見失うような年齢になったときに、児童書を開いてみて懐かしいと思えるのであれば、それはもう一度読むべきときなんじゃないかしら。
苦手なことを克服する物語では、できなかったことができるようになったという単純なことではなくて、自分の中の感じ方や見方が変わっていく過程を書いています。
「前に進んでいける」ということが、一番のテーマ。大人も子どもも、作品の中で気づきがあって、昨日10点だったことが20点になれただけで、生きやすくなったということなのかなと思っています。
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