「今の日本には正直、失望しかない」「重きを置くところがズレている」令和の20代女性が口々に語る「子どもを持つこと」への高い壁

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C:フランスの方と結婚した友人がフランスで子どもを産んだときに、妊婦検診や出産が無料だったと話していました。一方、日本で子どもを産むとなったら、それはとんでもないお金がかかると。

そういうところが遅れている、というか、国としての対策をしていないことがすごく問題だと思うので、産みたいという若者をもっと増やすには、国がもっと何かしないといけないと思います。

D:私自身は、大学生のときは「25までに子どもを産む」計画を立てていたのですが、実際自分がフリーランスで働くようになったら、仕事がなくなれば専業主婦になり不安定な状況になってしまうので、今後はフリーランスに対する支援もあればいいなと思うようになりました。

ーー今の日本は子育てをしながら働くことに関しては、産休・育休制度は割と諸外国に比べると整ってはいる、というか、制度自体は進んでいるのですが、対象がサラリーマンに限られているんですよね。Dさんの例でいうと、旦那さんがもしフリーランスになって子育てをしたら、自営業の妻だから控除がなくなる、みたいなことが起こりがちです。

D:それによって結局、自分たちが思い描いていたような子育てができないことになるのは、ちょっとネックだと思っています。

女性たちの葛藤から見えてくるもの

子どもを産むか産まないかは、母親と子どもの関係だけでは完結しない。パートナーはどのような考え方でどう暮らす人なのか、職場や社会は子育てする自分たちを受け入れ、サポートしてくれるのか。それはこれから母親になり得る女性たちにとって、切実な問題なのである。

女性たちの暮らしは、そもそも自宅と近所で完結するわけではないし、仕事をする現代女性にとって、自分らしさと引き換えの母親業を受け入れることは困難になっている。

彼女たちの葛藤に耳を傾ければ、女性に自己犠牲をいとわない無個性な理想の母親になることを、いまだ求め続ける社会の問題も見えてくる。未来を築く世代が、安心して自分らしく母親になる・ならないを選べる社会をどのように築けるのか。私たちが考えるべき課題は多い。

座談会前編:「こうはなりたくない」20代女性子育てへのホンネ

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阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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