「すき家で朝ご飯を食べよう→ネズミの死骸入り味噌汁が提供」 《「すき家」のネズミ混入事件》でまたも問われる企業の姿勢
地元メディアであるBSS山陰放送の記事(3月24日)によると、同社の取材に「本件は当該店舗の建物構造と周辺環境が重なった個店での事例と当社では捉えています。そのため、公表することにより、多くのお客様に対し不安を与えてしまう」と答えている。
これを読む限り、鳥取南吉方店だからこそ起きた事案であり、他の店舗への風評を気にした結果、公にしなかったということなのだろう。
しかし、あらゆる飲食店は、異物混入のリスクを避けられない。「近所にネズミ専門店がある」などの特殊な事情がない限り、「個店の事例」と断定しにくいのではないか。
結果的に消費者は、目視で「ネズミだ」と判別できるサイズの異物が混入していたことよりも、2カ月間も隠していた事実のほうを重く受け止め、「隠蔽体質」といった悪印象を残している。公式発表では、「ネズミが混入しないための再発防止策」が挙げられているが、ネットユーザーなどが期待しているのは「不祥事をすぐさま公表するための再発防止策」だ。
すき家のリリースには「問題意識のズレ」がある
筆者はネットメディア編集者として、長年企業のプレスリリースを読んできた。経験則として、公式発表が火に油を注ぐパターンは数々あるが、その一つに「問題意識のズレ」がある。すき家のケースも、これに当てはまる。
ネズミの混入はあってはならない。しかし、それ以上に、意図的でないとしても「隠そうとしていた」と見られる行動のほうがあってはならない、と考える消費者は多い。つまり今回のコメントにより、問題の「根本的な原因」から目をそむけている印象を与えかねないのだ。
そもそも、すき家は以前からオペレーションをめぐる不祥事が起きており、その度に再発防止策を示してきた。これらの背景を知っていれば、「本当に実効性がある対策なのか」「また同じことを繰り返すのではないか」という疑いの目を持っても当然だ。
すき家といえば、ワンオペ(ワンオペレーション)問題を思い出す人も多いだろう。これが話題になった2014年には、「パワーアップ工事」と称する一時閉店を実施。当時の発表文によると、工事対象となったのは全国167店舗で、「従業員の負担を軽減するための厨房能力の強化、さらに客席の快適化」を行ったとした。
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